GJ『南北戦争』の改良点

 GJ『南北戦争』をプレイしてみて気になった点を列記します。まあ、最近南北戦争の勉強を始めたニワカなので、見当違いの事を言っているかもしれません。また、他の戦略級南北戦争のゲームと見比べてみたわけではないので、私の意見よりこのゲームの方が妥当なのかもしれません。

 

マップ
・マナッサス~ワシントン
 前に書きました通り、マナッサスとワシントン間は河川ラインで結ばれています。しかし、Googleマップでも、他のゲームでも河川としているのはありません。概ね鉄道です。ここが河川ラインのため、南軍は直接ワシントンに移動できず、フレデリックを経由しないといけません。実際の地図を見てもそんな大回りをするのは不自然です。
シンシナティへの進撃
 昨日のリプレイで、リーがフィラデルフィアピッツバーグシンシナティと1ターンで攻略していきました。でも、実際の地図を見ると距離がありすぎる気がします。PtPの問題点として、距離に対する認識が甘くなることがあります。鉄道が繋がっているとはいえ、まだ未占領のはずなので簡単に長距離を移動できるのは変な気がします。「鉄道ライン利用(1MP)は両端のスペースが自軍支配下の場合に限る」とした方がいい気がします。
・これ何処?
 クロスキーズというスペースがありますが、Googleマップで場所を調べるのに苦労しました。ここが何かの戦いの戦場になったのかもしれませんし、南北戦争時代は重要な交通の結節点だったのかもしれません。とはいえ、付近にハリソンバーグという大きな町があるので、スペース名はそっちの方がいいのでは。これまたPtPの欠点ですが、スペース(ボックス)の名称は、地理的位置に関係なく自由に決められます。他のPtP南北戦争ゲームを見たわけではないのですが、各スペース名が本当に適切な名称なのかは検討の余地がある気がします。

 

ルール
・章番号、用語
 これも前に書きました。章番号がずれていたり、用語が不統一・不適切だったりします。
・初めて読む人がわからない
 北軍の手札のドローが何時かというルールが欠けていました(60号のエラッタで出ていましたが)。多分、入稿前に最終的に「初めて読む人」が確認していなかったのでしょう。デザイナーは元よりテストプレイヤーも、このルールを知っていたので、書いていないことに気が付かなかったのです。これはよくあることで、仕事の報告書も「嫁さんに読んでもらってわからないところを追記しろ」と言われたものです。発注先がよくわかっていない場合や異動などで別の担当者が来た事を考慮して、懇切丁寧な報告書にするためのアドバイスでした。また、細かい事に小うるさい客先に対し「ここに書いてあります」と返すためのものでもありました。

 

ターン
 1ターンが4ヵ月です。多分1~4月、5~8月、9~12月なのだと思います。でも、1861年は1ターンしかありません。つまり9~12月。サムター要塞が4月、第一次ブルランが7月です。そう考えると、5~8月ターンから開始した方がいいんじゃないかと思います。まあ、1861年はあまり大きな動きがないのですが。

 

標準(1862年)シナリオのセットアップ
・初期ターン
 5~8月ターンから始まります。でも半島戦役は3月から始まっています。もう1ターン前にすべきではないかと思います。もしかしたら1861年シナリオでは第1ターンから、標準シナリオでは第2ターンからでは不都合と考えたのかもしれませんが、この辺は上記の第1ターンの前倒しがあれば問題ないかと。
・マクレランとマクドゥエル
 フレデリックにいます。半島戦役のためにワシントンにいないといけないのでは?まあ、フレデリックが南軍に対して開けっぴろげになりますが、2戦力ユニット1個でも置いておけばいい気がします。この問題の重要な点は、史実に即するということで、マクレランは半島戦役のためにいたはずであること、マクドゥエルはリンカーンのごり押しでワシントン防衛のために残されていたことです。フレデリックにマクレランがいるため、5~8月のターンでワシントンに移動、9~12月のターンで半島戦役開始と、史実とは偉く異なる状況になります。「半島戦役」というイベントカードがありますが、手元になければどうしようもない。

 

その他
・昇進ルール
 前に書きました。敗戦しても昇進できるのはおかしい。ディビスならともかく、リンカーンならすぐに首を切りそうです。VASSALは大きい目が出やすいので昇進もしやすいです。
・補給切れ戦闘
 前に書きました。補給切れの場合、相手のダイス数が2倍になります。つまり自軍の損害だけが増える可能性があります。でも補給切れということは弾がないということで、むしろ相手の損害が減るのではないでしょうか。確かに腹が減って力が出ないから自軍の損害も増えるでしょうが。
・補給線
 前に書きました。道路の先の鉄道に繋げていいものかどうか。物資輸送という観点からならありだと思うのですが・・・。移動なら自軍支配下ではない鉄道でも移動力1MPで通過しますし。道路と同じように兵員を置いておく(輸送用と警備用?)のもなんか違う気がします。
・各種表
 ロールが1Dのものと2Dのものが混在しているので、表に書いてあると便利です。まあ、2D使うのは昇進・負傷表だけだと思いますが・・・(微妙にルールを把握していない)。
・命令チット
 リーは移動力5もあります。また、戦域チット2つ、リーチット1つで3回移動できます。さすがに移動し過ぎな気がします。各指揮官とも1ターンに移動できるのは基本1回のみにして、リー/グラントチットだけは2回目も可能とした方がいいのではないかと思います。このゲームは指揮官ユニットの裏面が昇進面なので、別途「活性化済み」マーカーが必要になりますが。再販ならユニットシートも増やせるのではないかと。
・イベントカード
 両軍とも16枚中10枚を選んでデッキを組みますが、初見では何を入れていいかわかりません。できればカードにイベントの発生年を入れると参考になるのでは。また、ターンが進んで年が改まると、その年のイベントカードをデッキに追加するといった方法も面白いかもしれません。
・戦力ユニットの統合と分割
 これは結構使い勝手が変わってきます。スペース支配のために2ステップ置いていかないといけないのは辛いし、1ステップのもので代用できるので、それなら最初から1ステップユニットだけを生産しておいた方が得ということになります。必要な生産ポイント自体は同じですから。ユニット数も別にゲームに含まれているものだけに制限されているわけではありません。なので、やはり統合と分割はできた方がいい気がします。ただし、その場合、指揮官が連れて行けるのを指揮値分の「ユニット数」ではなく「2倍のステップ数」としないといけませんが。


 元々が同人誌ですのであまり細かいことは気にしてはいけないのでしょう。ですが、再販するならやはり良いものにしてもらいたいと思います。その方が、アメリカ人を見返せるのでは?