『Versailles 1919』のソリティアルールについて

 今回は『Versailles1919』(GMT)のソリティアルールについて紹介します。これは結構特殊なルールです。

 通常のソリティアゲームは、陣営が変わることがありません。日本をやったら最後まで日本を、信長をやったら最後まで信長をプレイヤーがコントロールします。

 Versailles1919のソリティアルールでは、プレイする陣営が変わります

 これは、他のゲームでは基本的に2プレイヤーの対戦であるからだと思われます。例えば日本軍対連合軍とか、信長対反信長といった感じです。

 ところが、Versailles1919はマルチプレイゲームであり、かつソリティアでもイギリス、フランス、アメリカの3大国でプレイします。

 通常のゲームでは、ソリティアシステム(大体BOTと呼ばれます)は、プレイヤーとしか戦いませんが、マルチの場合はBOTBOTのシステムが入らないとBOT達が共同でプレイヤーと戦うといったほとんど2プレイヤーのようになります。そこで、Versailles1919では特殊なシステムを考案したのでしょう。

 

 そのシステムですが、Versailles1919では1国ごとにVPが計算されますが、それとは別にプレイヤー自身のVPがあります。これを得るためには、プレイヤーがコントロールする国がターンの初めに最もVPを多く持っている必要があります。このままですと単に勝ち逃げするだけですが、武装蜂起がおこったりして問題が未解決にされた場合、プレイヤーは最もVPが低い国に即座に鞍替えさせられます。武装蜂起はイベントカードが待合室に出た場合に起こりやすいですし、特に地域の不満が高まっているとあっさり武装蜂起されます。つまり、トップを維持ししつつ、地域の不満を抑えるようにプレイしていないと、自身のVPも確保できなくなります。一応、自身のVPが20以上ならばゲームに勝利ということになっていますが、ルールでは「どのあたりが適正なバランスかわからないので、何度かやって適正なVP値を見つけてね」と書いてあります。プレイブックにあったサンプルプレイですと、ゲームが半分終わって3VPでした。

 

 思ったのは、将棋の羽生名人は練習で将棋を打つ時、不利になったら盤を回転させて、不利な方で指すことで棋力をあげたそうです。VPが低い国に替わるというあたり、なんか、そんな感じがします。

 

 BOT自体の行動原理についてはあまり目新しくありません。優先順位が決まっていて、それに合わせて影響力を行使したり議題を解決したりしていきます。

 

 VPが低い国に鞍替えして、その国のVPを上げていき、そして自身のVPを稼ぎ、またVPが低い国に替わって・・・。これは、私が思うに、どの国も可能な限りVPを高くする(このゲームの場合、問題を解決したり国民の幸福度を高いまま維持する)ことを目指してベルサイユ会議を行っていることを示している気がします。どこかの国だけが利益を得たりするのは、大戦後の平和会議という状況にはそぐわないと、デザイナーは言いたいのではないでしょうか。そういう意味では、マルチプレイでも相手の足を引っ張って、自国だけが勝利を目指すというプレイは、第二次世界大戦や現在まで続く紛争を防ぐことができないのでしょう。このゲームを通じて、もしかしたらあったかもしれない平和な世界を築けるかどうかをプレイヤーに試してほしいのではないでしょうか。

 

 さて、デザイナーズノートを読むと(と言っても、和訳のために書き写した時に見ただけですが)どうやら次は『ウィーン1813』らしいです。ナポレオン戦争ですね。これも結構会議が踊ったから楽しそうですね。って、1813?見直しましたが確かに1813です。諸国民戦争の前でしょうか?1814かと思いました。

 このシステムを日本に持ち込んだらどうなるでしょう。でも、日本で有名な「会議」って、清須会議「御前会議」ぐらいしか思い浮かばない・・・。清須会議は、まあ4者(羽柴、柴田、丹羽、池田、追加で滝川がNPC?)の利害があるから形になるかもしれませんが、何しろ期間が短かった。討議内容も後継者と領地ぐらいだったのではないでしょうか。いまいちですね。御前会議はまあねぇ。戦争直前の会議と終戦時の会議と2つやってみるとか?各省の利害が対立するとか?いまいちですね。

 まあ、腹芸と根回しの国ですので、真っ向勝負の「会議」は日本にそぐわないのかもしれません。

 

(追記)

 プレイブックのソリティアのプレイサンプルを和訳したら、プレイヤーの立場は各国の指導者ではなくサウロンだそうです。指輪物語のあのサウロンになって、各国の指導者の耳元で囁いて、世界を恐怖と不安に陥れるのだとか。だから、操る国を変えるのだそうです。

『Versailles1919』(GMT)の紹介

 第一次世界大戦終結した後、戦後処理を話し合うために開かれたのがベルサイユ会議です。この会議をシミュレートするのが、今回紹介する『Versailles1919』(GMT)です。あれから100年、記念すべき年として発売されました。と、箱絵にかいてあります。

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Versailles 1919の箱絵

 さて、ゲームですが、プレイヤーはアメリカ、イギリス、フランス、イタリアの四大国でプレイします。イタリアが大国?と言うと色々思うところがあるかと思いますが、それはそれ。ちなみに、日本はノンプレイヤーカントリー(NPC)の代表として会議に影響を与えます。1~4人までプレイできますが、3人の場合はイタリアが抜けます。2人の場合はさらにアメリカが抜けます。

 1人(ソロ)の場合は特殊なプレイになります。特にどこの国を担当するというわけではなく、いくつかの国を渡り歩きます。このソロプレイシステムは結構独特で、プレイブックにも詳しくサンプルプレイが載っています。

 

 下図がマップボードです。左下が現在討議中の問題を置く「議事テーブル」、その上が審議を待っている「待合室」です。待合室では問題の資料を抱えて椅子に座っている担当者が目に浮かびます。右上は「地域トラック」で5つの地域の不安定度などが表示されます。不満がたまると「オラ達を馬鹿にすっでねぇ」と言って武装蜂起されます。右下の細長いトラックは「国民幸福度(条約に対する満足度)」を表しており、勝利条件に関係します。最初は20で、基本的にどんどん減っていきます。あまり国民が満足しない条約に調印すると、焼き討ちとかされかねません。その他、5から数字が書いてあるのが「動員解除トラック」で、軍隊の動員を解除すると数字の分だけ幸福度が上がります。その右隣は使った影響力キューブを置いておく「消耗ボックス」です。VASSALの画面なので各プレイヤーがゲットしたカードを置く場所や戦略カードを置く場所があります。

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マップボード(VASSALの画面)

 ゲームでは、いろんな地域の問題(Issue)が議題に上がります。これら一つ一つが53枚のカードになっていて、議事テーブル(2枚)と待合室(3枚)に置かれます。なんか見ると、これどこの話?って感じのものがたくさんあります。プレイブックにはこれらのカードの歴史的説明が書いてありますが、まだ和訳していません。

 プレイヤーは議事テーブル上の問題を解決することでそのカードをゲットできます。カードをゲットすると、そのカードに書かれている複数の議決結果の中から好きなものを選べます。例えば・・・

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問題(Issue)カードの例(プロシア

 右側に3段に分かれているものが議決結果のオプションで、ゲットした人が好きなものを選べます。プロシアに権益を持っているのはフランスとアメリカですが、別にフランスやアメリカがゲットする必要はありません。イタリアがゲットしてもよいのです。では、イタリアはどうするか。

イタリア「おお、プロシアをゲットしたぜ。ど・の・議・決・結・果にしようかな(ちらっとフランスとアメリカを見る)」

フランスヘタリアさん、ヘタリアさん。フランスに有利な一番下がお薦めでっせ。もしそれにしてくれたら、アルプスを越えてロンバルディアには侵攻しまへん。(それはさらに100年以上前の話だ)」

ヘタリア「おお、それは助かる。ではそのように」

 といった感じで取引に使えるのです。しかも恐ろしいことに、口約束したことは、そのターンに実行する場合は破ってはならないが、将来(次のターン以降)の実行の場合は破ってもよいというルールがあります。つまり、ヘタリアプロシア問題でフランスに有利な議決を選んだとしても、次のターンのフランスの手番ではルイ十二世がナポリ公国を攻めても一向にかまいません(いつの話だ)。ヘタリアとしては、アメリカに白い目で見られ、フランスには無視され踏んだり蹴ったりです。「おのれクレマンソー、黄色作戦の際には後ろから攻め込んでやる」と思ったかもしれません。

 問題カードをゲットするには、最も高い影響力がなければなりません。これはキューブで示されており、各国15個のキューブを議事テーブルと待合室に置かれたカードの上に置いて影響力を誇示します。次に置く場合は、前に置かれた各国のキューブよりも多くないとダメなので、影響力が高騰していきます。各ターンの手番では2枚以上のカードの上に置かないといけませんので、議論は白熱していきます。が、置けない場合は、「問題を解決する」と言ってカードゲットの手順に入ります。あるいは、問題が解決すると影響力キューブは消耗プールに送られますので、使えるようにするために黄色いドリンクを飲んで「回復」を行います(黄色いドリンクはゲームに含まれません)。

 問題カードのほかに、イベントカート(46枚)、戦略カード(10枚)があります。イベントカードには、関連する人の肖像画が書いてあります。フォッシュ将軍とかレーニンとか、ファイサル王子とか知った顔も見かけますが、知らない人が多いです。勉強不足ですね。イベントカードは、議事テーブルと待合室に置かれます。

 イベントカードには、カードが登場する(待合室に置かれる)時に発生する危機イベントと、問題が解決された時に発生する会議イベントがあります。危機イベントは大体が地域の不安定化や武装蜂起などが発生します。まれに安定化する場合もあります。会議イベントは地域の不安定化の増加や現象が起こります。自分が影響力を持つ地域以外の不安定化を増大させれば、そこが武装蜂起する可能性が高くなります。

 戦略カードは、最初に武装蜂起がおこったときに、5枚並べられたものから各国が選択します。「我が国は、戦後世界をこのように構築する!」と宣言するわけです。そして、ゲームでその戦略にのっとった行動をとればVPがもらえます。

 以下がイベントカードと戦略カードの例です。

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イベントカード(左)と戦略カード(右)の例

 ゲームでは、議事テーブルに置いてある2つの問題のいずれかを解決すると(どこかの国が「解決」を行う)、イベントカードの会議イベントを実施して、問題カードはゲットしたプレイヤーに、イベントカードは捨て札の山に置かれます。空いたところに待合室から問題カードとイベントカードが1枚ずつ議事テーブルに移動します。これは手番プレイヤーが行います。そして、空いた待合室の所に、問題カートの山から2枚引かれたうちの1枚を置き、もう1枚は捨て札にされます。つまり提議された問題が審議もされずにポイ。「オラ達を馬鹿にすっでねぇ」って声が聞こえそうです。まあ、捨て札された問題でも審議に戻ることがありますが。よくいますよね。会議で討議が終わったことを蒸し返す人って。

 イベントカードが待合室に置かれると危機イベントを実行します。この結果、この地域に最も影響力を持っている(問題カードをたくさん持っている)プレイヤーに対して武装蜂起することがあります。「オラ達を馬鹿にすっでねぇ」です。武装蜂起されるとゲットした問題カードが未解決にされます(VPを失う)。そして、そのカードは入札で所有者が変わる可能性があります。この時使うのが各国3つずつ持っている軍事ユニットです。つまり軍隊の力で武装蜂起を押さえつけてしまうのですね。

 このようにして、問題を解決してVPを稼ぎつつ、蜂起を抑え、国民の幸福度を下げずに、を繰り返してゲームを進めます。問題カードの解決結果は大体が他の国の幸福度を下げるものですので、足の引っ張り合いになります。

 

 少し長くなりましたが、ゲームとしては影響力キューブを順番に置いていき、時たま発生する蜂起に対処し、・・・なので、2時間ぐらいで終わります。討議する問題も半分は捨て札行き。しかも、ゲームの長さによって「終了カード」を問題カードの山の途中に挟むので(位置が決まっています)、52個の問題全部に対応するわけではありません。と、言うか、そんなに問題を残していたのですね、ベルサイユ会議って

 慣れたら終了カードの位置がわからないようにシャッフルしたり、実時間で2時間とか決めたりしてプレイしても面白いかもしれません。勝ち逃げを狙って牛歩戦術を取る人とか出そうです。でも、そんな人は戦後世界で爪弾きにされるでしょう(ゲームをプレイしてもらえなくなる)。

 そうなのです。このゲームはみんなで協力して、良い世界を築くものなのです。でもまあ、問題カードは他の国の幸福度を下げるものばかりだから、にっこり笑って懐に匕首でしょうか。

 

 日本では、第一次世界大戦の戦い自体のゲームはありますが、その後、和平のためにどんな努力がなされたかあまり知られていません。当時の資料を見ても、日本は自身の権益に関係する問題は熱心でしたが、英語力の無さもあり、それ以外の問題はほとんど無関心だったそうです。その結果が第二次大戦です。国際社会の一員として、もっと注意深くいろんな問題に真剣にかかわるべきだったのでしょう。他の家のことに口を挟まないのは日本の美点かもしれませんが。

 そんな思いでプレイしてみてはいかがでしょうか

ASL SK2のシナリオ12をやりました その1

 シナリオ12で、ようやくまともな大砲(5/8インチカウンター)を撃てます。結構ルールを読み飛ばしているので、注意が必要です。砲兵器のクリット(クリティカル・ヒットの略、CH)は歩兵目標(ITT)では修正後が()の中の値、ATTでは修正前ピンゾロ。操作班以外は不正規使用ペナルティ。射界(CA)があるが射撃フェイズに移動可能(ペナルティあり)。追加射撃。特殊弾薬。防盾DRM。サイズ。AQマーカーの設置。めげそうです

 

 このシナリオはバルジの戦いです。麦畑は開豁地です(忘れない)。ドイツ軍がアメリカ軍の3つの大砲を破壊もしくは捕獲すれば勝利です。つまり目標は3つ。ターン数は7ターンありますが、ドイツ軍が勝利条件を満たせば即座に終了です。アメリカ軍としては、少ない兵力で守りやすいように大砲をまとめるか、ばらして時間を稼ぐかです。増援は来ますが、ドイツ軍との相対的な戦力差は非常に大きいです。15個分隊対7個分隊(3個増援)。個別に守っていると各個撃破されそうです。また、アメリカ軍の分隊の射程はドイツ軍より小さいです。そこで、以下のような初期配置にしました。赤線は各砲のCAです。砲の設置制限がなければできるだけカバーしたいところですが。ちなみに青線はドイツ軍が進入してくるへクスです。いくつかの場所はLOSが通らず、砲による射撃を受けないで済みそうです。

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初期配置(赤:砲によるCA、青:ドイツ軍登場へクス)

 マップ西側の林はLOSを妨害するので東側に寄せるようにしました。東の林の中に迫撃砲(MTR)を置いて東西どちらにもLOSが通るようにしました。迫撃砲(MTR)は重いので2個分隊がスタックします。

 

 さてドイツ軍の移動です。攻め方ですが、迫撃砲は4FPなので砲の破壊には使えそうにありません(Kの結果は多分出ない)が、操作班が混乱すれば射撃を受けずに済みます。なにしろまともに喰らえば20FPですから。後は林の東側の方が攻めやすそうです。アメリカ軍の分隊の射程外から射撃しましょう。

  

 下図がドイツ軍移動フェイズの終了時です。一番東の105mm砲が8-1指揮官の小隊+MTRに臨機射撃しました。命中(TH)ナンバーは1944年のアメリカなので黒の7(3)です。(3)は修正後のDRが3ならCHであることを示しています(備忘録)。出目は7ですが、ドイツ軍は森にいるのでTEM+1DRM。FFMOでもなければ警戒移動しているのでFFNAMもありません。はずれです。AQカウンターを載せます。これで合っているかな?

 真ん中の105mmはP8の木造建物にいる分隊を射撃します。同じ7ですがこちらは警戒移動していないのでHitになります。IFTの出目はピンゾロ。KIAされました。LMGだけ残っています。やはり砲兵器は強いですね。ピンゾロでなくても概ねMCの結果は出そうです。

 お隣のO8のドイツ軍はLOSが通りません。

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第1ターン ドイツ軍 移動フェイズ終了時

 第2ターンのアメリカ軍準備射撃フェイズ開始時です。どっちもかなりボロボロです。アメリカ軍の東側の砲は操作班がいません。アメリカ軍の援軍は第4ターンです。持つかな。

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第2ターン アメリカ軍 準備射撃フェイズ開始時

 第3ターンのアメリカ軍準備射撃フェイズ開始時です。東西2つの砲がドイツンに占領され、守るべき分隊もすべて混乱状態。かなりドイツ軍にも損害が出ていますが、中央の砲に隣接するドイツ軍1個小隊+8-1指揮官が白兵戦を挑んでくればジ・エンドです。ちなみにCAは明後日の方角を向いています。旋回させたとしても後方から西の砲を占領している分隊がやってくるでしょう。

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第3ターン アメリカ軍 準備射撃フェイズ開始時

 うーん。何がいけなかったのでしょう。もともとアメリカ軍は弱体です。それでも砲の威力は抜群です(20FP)。ただし、どうも死角が多い気がします。何とか減らせないものでしょうか。一応準備射撃フェイズにCAを移動すれば前進射撃フェイズで撃てるのですが。

 

 今回、ASLSKのルールブックの書き方が悪いことを痛感しました。砲兵器についてまとまっていないのです。そもそも、SKはASLを知らない人がちょっと触ってみようかなという感じでSK1(歩兵戦闘)、SK2(砲兵器)、SK3(車両)と進んでいくと思います。ならば、砲兵器はそれ単体で射撃(命中から損害の出し方まで)と移動などをまとめておくべきです。現状は命中の個所(3.2.4)と砲兵器全般の個所(6章)が分かれていて参照しにくいこと夥しい。今回CAの変更について調べたのですが、どこに書いてあるかさっぱりわからず、6章に書いてある砲の移動でやるのかと思ってしまいました。最終的に3.2.4に書かれていましたが。

 結局、自分でまとめたものを作るしかないのでしょうね。歩兵戦闘まではやっていましたが、砲兵器と車両についてもまとめないとルールの把握が困難でしょう。

 

 沼に嵌りつつある気がしますが、でもまだ大丈夫。足首までしか浸かっていない。いつでも抜けられる。

 

ASL SK2のシナリオ11をやりました その2

 たまには別のゲームをしようなどと、どの口が言ったのか。結局またアドバンスド・スコードリーダー(ASL)のスターターキット(SK)です。

 シナリオ11の勝利条件では、ドイツ軍の分隊6個撃ち取ればドイツに勝利はありません。K付きの結果を得るには、開豁地と無警戒合わせて-2DRMを考慮すると24火力(FP)あれば50%の確率で除去できます。24FPなら、6-6-6×3と7-4-7か3-4-6が2個で可能です。できるだけ集めた方がよさそうですね。7-4-7と3-4-6の組み合わせを2つ作れますので、迫撃砲か6-6-6を追加すれば24FPになりますが、3-4-6はあまり使い出のないバズーカを持たせて分散させるので、こちらの組み合わせは無しです。

 この方針で再度初期配置を考えました。前回は迫撃砲が後ろ過ぎて第1ターンに撃てませんでした。迫撃砲とはいえLOSがないと撃てません。また、バズーカは建物に敵がいないと撃てません。いろいろと制約がある兵器たちです

 防御側であるアメリカ軍は数が少なく、また突破シナリオなので、できるだけ前に出て守り、順次下がるのがよいかと思いました。そこで、下図の初期配置です。

 この初期配置は丘と丘の間に殺し間(赤丸)を作ることでした。なので、最初からか建物の中などには入っていません。迫撃砲は重い(5PP)ので2個分隊がスタックしています。指揮官二人で迫撃砲を撃つことも考えましたが、指揮補正が使えないので止めました。

 マップ下部から突破してくるドイツ軍には、麦畑より右側の開豁地で対処します。

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初期配置(赤丸は殺し間)

 第1ターンのドイツ軍の移動です。殺し間に入ってきてくれませんでした(しょんぼり)。また、マップ上部に指揮官を集めています。それ、よくない

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第1ターン ドイツ軍移動終了時

 防御射撃の目が走って上図の赤い×印の分隊が除去されました。一応殺し間は生きましたが、実際に24FP集めたわけではなかったです。まず、ひとぉつ。

 また、青い×印は分隊が混乱しました。まあ、ドイツ軍の分隊は9-1指揮官がいるので多分回復してしまうでしょう。

 もう、アメリカ軍はこのまま固まってひたすらドイツ軍の除去に賭けますか。賭ケグルイますか。

 

 どうでもいいですが、賭ケグルイ(原作河本ほむら、作画尚村透、スクエア・エニックス)というマンガはとても好きです。すごくきれいな女の子が絶対しちゃいけない表情をするあたりに凄みを感じます。実写映画化されたそうですが、あれを完全に再現できるアイドルがいたら女優になれますね。それとも特殊メイクか。ちなみに未視聴です。

 

 第2ターンのアメリカ軍の移動フェイズ終了後です。第2ターンのドイツ軍はCX上等で走ります。しかしマップ下部に出遅れたドイツ軍が群れを成しています。これを狩ります。

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第2ターン アメリカ軍 移動フェイズ終了時(一狩り行こう)

 24FP攻撃と迫撃砲の釣瓶撃ち(3回ROFりました)で-3VP打ち取りました。ふたぁつと半分。

 

 第4ターンのアメリカ軍の移動フェイズ終了時です。完全に狩りにかかっています。ヒャッハァー!ドイツ軍は必死に抵抗しています。逃げ惑う村人のようです。

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第4ターン アメリカ軍 移動フェイズ終了時(ヒャッハァー)

 この後、前進射撃には耐えたドイツ軍でしたが、白兵戦で除去されました。1対5とか、無理過ぎです。ここまでで-10VPです。

 その後、次のアメリカ軍ターンで下のDMになっていた2個半個分隊が除去されて-2VP、合わせて-12VPなので、ドイツ軍敗北です。

 

 いまいち納得がいかない。でも、こんな戦い方もあるのでしょうか。ドイツ軍はもっと早い段階でCXすればよかったかもしれません。それでも指揮官付きでない分隊はどうしても足が遅くなりますので、捕捉されていたでしょう。KIA喰らってもスタックしていたら1個分隊の除去のみなので大丈夫という考えもあるかもしれません。まあ、残りが混乱したらアウトでしょうが。また、突破は9VPなので、それ以外のドイツ軍は助けに戻った方がよかったかもしれません。まあ、多重遭難になるかもしれませんが。

 

 沼に嵌りつつある気がしますが、でもまだ大丈夫。足首までしか浸かっていない。いつでも抜けられる。

 

ASL SK2のシナリオ11をやりました その1

 今回はアドバンスド・スコードリーダー(ASL)スターターキット#2(SK2)のシナリオ11です。舞台はシシリーです。ハスキー作戦です。今回初めて砲兵器を使います

 シナリオではドイツ軍がマップ右端から9VP突破すれば勝利です。ただし11VP以上除去されてはいけません。10VPまでならOK。つまり5個分隊です。普通に歩いても5ターンぐらいで突破できますが、シナリオは7ターンまであります。アメリカ軍は2個小隊相当の兵力で13個分隊(4個小隊強)を相手にしないといけません。バズーカ2つと迫撃砲1つの運用がカギなのでしょう。バズーカは建物内の歩兵にしか損害を与えられません。また、迫撃砲は家の中にいると撃てません。そこで、下図のような初期配置にしました。建物に頼るであろうドイツ軍をバズーカで撃ち、突破してきたら迫撃砲で撃ちまくります。

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初期配置

 第1ターンのドイツ軍移動フェイズ終了時。わらわらと攻め寄せます。最近、痛いのが怖くなくなりました。臨機射撃は無しです。バズーカにはROFがありませんので。迫撃砲はLOSが通るドイツ軍はいません。

 少し賢くなった点。MGには複数の分隊をスタックさせました。今まで1個分隊が持っていて、混乱潰走するときに捨てて行ってしまったりしたので(重い奴は)。

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第1ターン ドイツ軍 移動フェイズ終了時

 さて、初めての砲兵器での射撃です。『俺のバズーカが火を噴くぜぃ!ひゃほぅ!』ちょっとエッチい気がします。で、命中判定(TH)はユニットの裏を見る、と。めんどくさい。表にまとめておけばいいじゃん。はっ!もしかして、ユニットごとに数値が変わる?アントライド?・・・違ったようです。さすがアメリカ製。大戦末期の日本のように品質がバラバラっていうことがないのですね。

 マップの上から始めます。2へクスなのでTHは8以下ですが、石造建物なので-3の5以下。無茶苦茶当たりにくい。さて、第一投、投げました。3!当たった。初弾命中。ばんざーい、ばんざーい。もう、思い残すことはありません。ユニットを箱に仕舞って・・・。

 いやいや

 IFTで石造建物なのにTEMDRMが付かないのがとてもうれしい。出目6で1MC。1分隊が混乱しました。

 次に第二投。下の方のバズーカです。距離1へクスで邪魔そうな9-1指揮官を撃ちます。出目がいい。TH3、IFT2。1KIA。1個分隊が昇天し、残りがDMになりました。バズーカ強し(出目が良かっただけ)

 この防御フェイズで-3VPになりました。ちょっと出だしがつまずいていますね。

 その後、白兵戦フェイズで下の方のバズーカを持ったアメリカ軍分隊はボコられて昇天しました。

 第1ターンのアメリカ軍ですが、迫撃砲のLOSが通るところがあります。上述のバズーカを持っていた分隊がボコられた所です。しかもドイツ軍はです。密はよくありません。

 敵歩兵が建物にいないとバズーカは意味を成しません。つまり、AA列の林を抜けられると使いようがありません。なので上のバズーカは逃げません。8-0指揮官は逃げました(転進という)。

 さて、防御射撃を切り抜け(バズーカを持った分隊がDMになりましたが)、普通の分隊の前進射撃も終わり、ついに迫撃砲を撃つ時が来ました。

 ファイエル(それじゃドイツ軍だ)

 捕捉(AQ)マーカーが使えるのですね。勝利条件へクスを示す以外初めてAQマーカーを使いました。どう使うのかよくわかっていませんが。それはそれとしてちゃんとしたTH表を見ます。射程9へクスで7以下命中ですね。DRMはTEMとLOS妨害で+4、指揮で-1で、合わせて4以下命中。無茶苦茶当たりにくい。案の定出目9で当たりませんでした。色付きが6なのでROFもありません。とりあえずAQマーカーは置いておきますが、もうここを通るドイツ軍はいなさそうです。

 さて、ドイツ軍の移動フェイズです。前にも書きましたが、進撃する方は混乱したユニットがいても、後で回復してしまいます。9-1指揮官も混乱から立ち直ってしまいました。

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第2ターン ドイツ軍 移動フェイズ開始時

 ちなみに上図、ドイツ軍の故障しているLMGは、回復フェイズで修理するのを忘れていましたので後でやったら壊してしまいました。私はなぜかよくMGを壊します。

 ドイツ軍の移動に対し、迫撃砲で臨機射撃します。命中!火力は・・・4ですか。案外小さいですね。でも指揮官をDMにしました。残った分隊の指揮官喪失判定チェック(LLTC)のPTCは耐えました。ROFが効くので再度撃ちます。効果はありませんでした。

 第3ターンのドイツ軍移動フェイズ開始時です。ドイツ軍もアメリカ軍も、混乱したこともあるけれど、みんな元気です。

 ドイツ軍が押していますが、それでも走って逃げられるほど甘くなさそうです。ただ、残り4ターンもありますので、ドイツ軍有利でしょう。第1ターンの-3VP以外、損害はありません。

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第3ターン ドイツ軍 移動フェイズ開始時

 下図は第3ターンのアメリカ軍準備射撃フェイズ開始時です。ここまで-7VPでしたが、もうあまりアメリカ軍に打つ手がありません。迫撃砲も4FPなので思ったほど打撃を与えられません。もう少し粘れるかもしれませんが、投了です。

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第3ターン アメリカ軍 準備射撃フェイズ開始時

 アメリカ軍は初期配置が難しいです。バズーカくれるぐらいならMGが欲しい。バズーカはBB列より右側ではあまり使い道がありません。迫撃砲は案外FPが小さい。また、懐に入られると撃てません。

 一方ドイツ軍は、痛いのもかまわず、わらわらと群がったのがよかったようです。また、混乱になってもDMが取れたら回復しやすかった。

 

 次回はもう少しアメリカ軍の初期配置を考えることにします。

 

 沼に嵌りつつある気がしますが、でもまだ大丈夫。足首までしか浸かっていない。いつでも抜けられる。

 

 そうだ、たまには別のゲームをしよう。

『U-BOOT The Board Game』について


 PHALANX社から出ているゲームです。昔コマンドマガジン日本版(CMJ)でもちょっと紹介されていました。その時から気になっていました。なんか、U-BOOTの模型を使っている。私は潜水艦が結構好きです。

 たまたま目にしてので、脊椎反射で購入しました。

 

 先に告白しますが、私はこのゲームをまだプレイしていません。理由は追々。

 

 PHALANXのゲームだからそんなには難しくないだろう、と思っていました。私が持っているPHALANXのゲームは『Alexander The Great』だけなのですが。これはルールブックが数ページなので、さほど変わらないかなと思っていたのです。箱はでかくて重いですが、『Alexander The Great』もでかいしね。下図はアドバンスド・スコードリーダーのスターターキット(ASL SK)との比較です。縦方向は変わりませんが、横幅は1.5倍ぐらい、高さに至っては2.5倍あります。

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ASLSKと箱のサイズの比較

 箱のふたを開けるとぎっしり詰まっています。こういうのは小市民的にうれしいです。

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ふたを開けたところ、上までぎっしり詰まっている

 上のU-BOOTの模型のパーツを取り除いても結構詰まっています。一番上のルールブックを取り出しドキリとしました。何か違う・・・

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まだまだ詰まっている

 分厚いルールブック。そして別冊のタクティカルガイド。これは重い。物理的だけではなく精神的にも重い。そう感じました。

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ルールブック(50ページ以上)とタクティカルガイド(20ページ)

 ざっとルールブックを読んで・・・

「なぬ!本物っぽいコンパス使って自艦の移動と敵艦の移動から魚雷を撃つ方向を割り出す?!」

「材料トークンを使って、実際に乗組員に出す料理を作る?!」

エニグマの暗号を解く?!」

「パズルで艦の損傷を修復する?!」

「しかも、リアルタイムで・・・」

 うん、これ、ほんとは、ボードゲームでやるんじゃなくて、テレビゲームでやるやつだ。それをボードゲームにしちゃったんだ。

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魚雷攻撃のメカニズム(ルールブックより)

 

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食事メニューリスト(ルールブックより)

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エニグマ暗号表

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艦の修理パズル(ルールブックより)しかも目隠しでやる

 リアルタイムというのは最初から知っていましたが、どうやるのかなと思っていました。これは、スマホなどにandroid等のアプリを入れてやるようです。私はもう老眼なので、タブレットに入れました。

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アプリのスタート画面

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アプリのチュートリアル画面(攻撃の時には潜望鏡を覗き1ボタンで魚雷発射)

 このようなことを4人(艦長Captain、副長First Officer、航海士Navigator、主任技術者Chief Engineer)で協力して行っていきます。1人でもできますと書いてあります。多分リアルタイムは難しいので、一時停止を使いながらでしょうね。

 さて、こんなわけで、私が未プレイなのがわかっていただけたでしょうか。結構大変そうです。いつかはやってみたい。

 その他、いくつか画像をお見せします。ちなみにプレイ風景やルールブック、タクティカルガイドはPHALANXのホームページからダウンロードできますので、興味ある方はどうぞ。ひげ面のおっさんだけでなく、少年やお姉ちゃんもプレイしている写真が載っています。

www.uboottheboardgame.com

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精強なる我が兵士たち(ちなみに塗装版もあるそうです)

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そのステータスボード

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タクティカルボードと獲物の皆さん

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獲物の皆さんの認識表

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チャート(海域地図)

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アイテムカード(乗組員にあげると喜ばれる)

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ちょっとかっこいい布袋(乗組員をランダムで決めるためのもの)

 

アレクサンドロスはアムロ・レイに似ている(安彦良和)

 私は、アレクサンドロス大王が大好きです。アレクサンドロスとみると、脊椎反射で買ってしまいます。そんなわけで、書籍やゲームなど結構持っています。今回は少しご紹介します。

 

 オリバー・ストーン監督のアレキサンダー(2005)が公開されるまでは、アニメアレキサンダー戦記』(1999)が私の持つ唯一の映像作品でした。これは史実通りというよりはアレクサンドロス・ロマンスという感じのものでした。アレクサンドロス・ロマンスというのは、いわば空想的な伝説や伝承などを集めたものです。潜水艦に乗ったりなんかしています。アレクサンドロス大王の研究家であるヒュー・ボーデン氏も好きな作品と書いていますね。この『アレクサンダー戦記』は、アニメよりはノベライズした作品の方が面白かった。アニメではあまり出てこないピタゴラス教団と正多面体の話が詳しく出ていましたので。これがあるから、アニメの最後にエウクレイデス(ユークリッド)がちょっと出てくるのに意味があることがわかります。

 ちなみにピタゴラス教団とは、あの有名なピタゴラス先生を始祖とする数学好きの集まりで、「世界は整数ですべて説明ができる」としています。確かに正三角形を二つに割った直角三角形は辺の長さが3:4:5で整数ですが、実はもっときれいな図形であるに直角二等辺三角形は1:1:√2で整数では割り切れません。これが教団の門外不出の秘儀となって、それを知ったものを暗殺するというのは別の小説です。

 『アレクサンダー戦記』には原作小説があります。『幻想皇帝』というのですが、こちらはルイス・フロイス織田信長に謁見したときにアレクサンドロスの生まれ変わりか」と思うところから始まります。どちらの小説も荒俣宏大先生が書かれています。

 また『アレクサンダー戦記』はPCゲームにもなっています。これも持っている。

 ついでにゲームの話です。ゲームはほぼウォーゲームですが、結構多くあります。特に好きなのは『The Great Battle of Alexander』(GMT)ですが、初版なのでルールが少し異なります。そこで、GMTのサイトから最新版を落として和訳しています。でも、後継者戦争の4シナリオは入っていないんですよね。GMTの500個集まったら再販するプロジェクトP500で細々と募集しているのですが、あまり増えていません。いつかは500本に達するでしょうか。

 アレクサンドロスのゲームには、戦術色の強いゲームと、東征全体を扱うゲームに分かれているようです。作戦級に当たるようなものはあまり見かけません。戦術色の強いものとしては、先ほどの『The Great Battle of Alexander』の外、『アレクサンダーズ・トライアンフがありますね。戦略級ではThe Conquerors Alexander the Great』アレクサンドロスの遺産』『Field Commander Alexander』などがあります。『Field Commander Alexander』は戦役をシナリオのように重ねていきますが、作戦級と言われると微妙な気がします。この辺りは個人の感想です。この他、支配地を統治する『Alexander The Great』(PHALANX)とか『Alexandros』(Winning Moves)とかあります。

 ゲームで持っていないものとしては、アバロンヒルの『Alexander the Great』と『バトルライン』でしょうか。『バトルライン』はタクテクス誌で紹介された時から知ってはいましたが、アレクサンドロスの名前が載っていないのとゲーム的すぎるのでスルーしていました。まさか今日まで長く売られるとは思わなかった。

 書籍では小説とか研究書とかいろいろありますが、『王宮炎上』(森谷公俊 吉川弘文館)のような研究書が私は大好物です。最近ではアレクサンドロス大王(ヒュー・ボーデン 佐藤昇訳 刀水書房)がわかりやすくまとまっています。

 そしてマンガでは最近話題に上がっているヒストリエ岩明均)。夢中です。ただ、三浦建太郎先生がお亡くなりになったように、未完のまま終わることがないよう、体には注意してもらいたいものです。

 そういえば忘れていましたが、今テレビドラマ『ポロス』をやっています。インドのポロス大王の話ですが、アレクサンドロスも出てきます。相当な悪役です。ポロスは負けるので、どんな風にヒュダスペス河畔の戦いを描くのか気になります。

 さて、最後に、今回最も言いたかったタイトルの言葉。安彦良和大先生のアレクサンドロスです。タイトルの言葉はNHKスペシャル版の帯に書かれていたもので、完全版、電子書籍版も購入してしまいました。安彦大先生は『イエス』や『ジャンヌ』といった歴史上の人物の漫画も描かれていますが、これらは個人を描いたものではありませんでした。今回の『アレクサンドロス』もアレクサンドロスを追いつつ、語り部アレクサンドロスの友人にして将軍の一人リュシマコスです。後継者戦争の最後まで残って、最後の戦いコリュペディオンでセレウコスに敗死します。この時の最後の言葉が、もっとも私に刺さりました。それは常々考えてきたことと同じだったからです。

 リュシマコスアレクサンドロスの死後の争いを簡単に述べた後、「誰があの偉大な人の後を継げるというのか」と言います。しかし、続けて「だが、あの人は神ではなかった。人間だ。たとえ半分といえども神なんかではなかった。」と言うのです(この辺りのセリフは少し変えています)。こここそが、私が常々思っていたことに合致します。

 私は、「人間にはアレクサンドロスの種も、ヒトラーの種も持っていることを自覚すべきだ。そしてアレクサンドロスの種を芽吹かせ、ヒトラーの種は芽吹かせないようにしないとならない」と思っています。ですので、ドイツのナチスヒトラー関係のことはタブーというのは間違っていると思います。ヒトラーをわれわれ人間とは異なる悪魔だと決めつけた時、自分の中にあるヒトラーの種を否定することになります。そうすると、またいずれヒトラーが生まれてくるでしょうアレクサンドロスを神、ヒトラーを悪魔といった風にレッテルを張ってはいけないと思います。どちらも我々と同じ人間なのです。

 私は、アムロ・レイも「よい青年」であったと思います。けして神などではなく。ニュータイプの概念が、Z、ZZと行くにしたがって超能力者になっていったのを見るにつけ(あとビーム兵器がインフレを起こしているのを見るにつけ)、なんか破綻しつつあるなぁと思っていました。富野監督のジェノサイドが、人や兵器のインフレが原因なのは自明の理です。幸い、ユニコーンで原点回帰してくれましたので良かったですが。

 そんな思いで、今回のタイトルの言葉をかみしめたのでした。安彦先生がこんな思いでこのタイトルのようなことを書いたのかどうかはわかりません。あくまで、私の想像です。