「カミカゼの幽霊 人間爆弾を作った父」神立尚紀

 私は桜花が好きです。昔、一式陸攻と桜花のセットのプラモデルを買おうかとズ~と悩んだことがありました。結局買いませんでしたが、まあ、買ったとしても親に捨てられたことでしょう。スペースシャトルやウォーターラインなどほとんど捨てられましたから。

 桜花が好きになったのは、松本零士の戦場マンガシリーズ「音速雷撃隊」を読んだからです。

 「この戦争で死んだ若者が、後30年生きていたら、みんな色んなことをやったんだろうなぁ」

 「敵も味方も、みんなキチガイだ」

 など、心に残る言葉がありました。ちなみに確か「キチガイ」と描いてあった気がします。松本零士はよく使っていましたので。とはいえ、戦場マンガシリーズも全て捨てられたので、確認できません。今の「ザ・コクピット」では「大馬鹿」と描かれていたかと思います。

 そんなわけで、ちょっと前にNHKで、桜花の発案者大田正一が生きていたというのをやっているのを見て、驚いたのでした。そして、本書はさらに詳しく大田正一の戦前の戦歴や戦後の生きざまについて書かれています。でもまあ、著者が書きたいのは、多分、宇垣や大西の様に終戦直後に自殺した人がいる一方、特攻を推進したにも関わらず、戦後のうのうと生き延び、国会議員までなったような人がいることを非難したかったのではないかと。源田も黒島も、まあ生き汚いなと思ったのでした。