ダイナモの楽しさ

 シモニッチ御大の「フランス'40」の2in1の一つ「ダイナモ作戦」。私は「Sickle Cut」よりも好きです。シモニッチ御大は「断固とした防御」ルールが好きなようで(ZOCボンドはコーカサスキャンペーンには無かった)、「Sickle Cut」他、いろんな一連のゲームシリーズにも含まれています(多分)。が、前にも書きましたが、「Sickle Cut」で「断固とした防御」するフランス軍って一体・・・。デザイナーズノートにも、このルールが混乱させた、と書いてありますが、シチュエーションに合わないルールなら削除すればよかったのに。

 一方、「ダイナモ作戦」の方は、逃げる同胞のために「断固とした防御」する連合軍。シチュエーションばっちり。そんなわけで、私は「ダイナモ作戦」の方を押します。まあ、世間一般には、「Sickle Cut」の方が人気がありますが。

 その理由もわかります。ウォーゲームをプレイするなら、大突破して包囲舜滅するとか(バルバロッサ)、そういう突破を抑え込んでボコボコにするとか(ハリコフ)、そういうシチュエーションで爽快感が得られるのです。

 でも「ダイナモ」は撤退戦です。かたや連合軍は、下手に攻撃して自傷するのは憚られます。と言って、ドイツ軍の方は1~3ターンはヒトラーの「ちょっとお待ちになって!(Halt!)」ルールで4~5個の装甲師団は攻撃できません。装甲師団の攻撃力こそが大事なのに。まあ、「ちょっとお待ちになって!」と言った総統閣下は、ご褒美に各装甲師団に1ステップの補充をくださりますが。うまくすると全快する。とはいえ、さらに6ターン以降に、その装甲師団がどんどん引き抜かれてしまいます。全体として、爽快感皆無。

 でも、です。撤退戦がうまい武将こそ有能と言われています。なら、ウォーゲーマーたるもの、挑戦せずにはいられません。

 撤退戦で重要なのは、段取りの計画です。このゲームではイギリス軍10ユニット以上を含む15ユニットの撤退で連合軍の勝利です。どのユニットを撤退させるか、どのユニットを戦場に残すか、どの位置にいつ退却するか、戦線を縮小して余ったユニットをどこに送るか。そういった段取りを事前に計画しておく必要があります。計画力が大事なのです。私があまり得意としない所です(夏休みの宿題は8/31にやる)。

 そんなわけで、ちょっとプレイしているのです。

ダイナモ作戦初期配置

 ベルギー軍(緑)は5ターンに降伏してしまいますので、ドイツ軍は一気に東北側から迫れます。が、悲しいかな。歩兵部隊なので、移動力3+拡張移動2。それに歩兵は攻撃力が小さい。なので、装甲師団が西側から攻めて、南部にいる連合軍部隊を包囲する。ああ、これもSickle Cutです。そうはさせじと、連合軍はさっさと引けばいいんですが、速すぎると4ターン以降にステップが回復したドイツ軍の装甲師団の総攻撃にあいます。やはり計画と、戦機を見る目が大事です。そういった力を涵養できるこのゲーム。もっとプレイされて欲しいなと思います。