「空と宇宙の食事の歴史物語」(リチャード・フォス)

 「旅の食事」シリーズの最後です。軽快な語り口でしたので一気に読めました。

 歴史上、初めて空での食事は気球に乗った人が行ったようですが、その後は機内食について書かれています。というか、なんか、航空会社の興亡のような記述です。

 初期には機内食などありませんでした。その後、旅客というものが出てからは、豪華な機内食が出されました。航空機に乗るのはお金持ちばかりだったからです。貧乏人は地面を這え、という事だったのでしょう。第二次大戦後、大量輸送の時代が来ました。すると、今度は豪華な機内食が経営を圧迫していきます。航空会社が集まって食事内容に規制をかけましたが、「パンに何か乗っていればサンドイッチだよね」という会社が現れて、キャビアとかを乗っけるようになりました。建艦競争と同じです。あっという間に我も我もとなって、「サンドイッチ戦争」が勃発しました。ワシントン条約と同じです。サンドイッチの定義を細かく決めて戦争を終結に導きました。アホらしい・・・。

 また、宗教に基づいた機内食も出されるようになりました。ユダヤ教イスラム教などです。これも読んでいると、宗教ってバカバカしいな、と思うのでした。ラマダンは日没で終了するが、飛行機が西に飛んでいるといつまでも日没にならない。ではいつ食事がとれるようになるのか、というのをラビが真面目に答えています。

 湾岸戦争911テロなどを受けて利用客が減り、コスト削減のために機内食の内容がどんどん悪くなります。

 そんな、暗い未来の話で終われなかったので、宇宙食についての話がその後で書かれていました。初期はチューブ、キューブでまずかったそうです。それが、だんだん豪華になっていきます。ついには、宇宙船の中でターキーに齧り付いているのを、コーヒーとサンドイッチだけしかない地上管制局員が羨ましそうに眺めるという状況になりました。こちらは未来がありそうです。