『鉄道の食事の歴史物語』

 私は歴史が好きです。中でも「戦史」と「食」に関係することに興味があります。戦史の方は、まあウォーゲーマーですから。食の方は「料理」だけではなく「食材」なんかも興味があり、その手の本を見ると買ったりします。

 本に入っているカタログで「鉄道の食事の歴史物語」、「空と宇宙の食事の歴史物語」、「海の食事の歴史物語」というシリーズが原書房から出ていることを知り、全部購入して積読しています。これらは「旅の食事」シリーズとして出されたものを邦訳したものです。ようやく「鉄道の食事の物語」を読み始めました。

 鉄道の食事といえば「駅弁」です。私が食べた駅弁で一番衝撃だったのは明石の「ひっぱりだこ飯」でした。定番では崎陽軒の「シュウマイ弁当」ですかね。最悪なのは浜松のウナギ弁当で、冷めたウナギの皮がゴムみたいだった。ウナギは冷めたものを食べてはいけない。高崎駅のだるま弁当や峠の釜めしなどもいいのですが、問題は器です。取っておきたくなるけど、案外使わず邪魔になるだけでした。

 さて、鉄道ができたころは路線が短かったから食事に関しては考えなくてよかったそうですが、路線が伸びるにしたがって乗客は車内で食べ物がないという状況になったようです。そこで、蒸気機関車の水の補給の時に軽食を販売していたようですが、さすがイギリスは不味かったそうです。こんな、お客さんの苦労があって、現在の美味しい駅弁にたどり着いたんだなぁと感慨。でも、駅弁というシステムは、これ以上発展しないんじゃないかな。もちろん、種類が増えたり、美味しくなったり、豪華になったりはするでしょうが。リボルバーが西部劇の時代から変化がないように、ある種の技術は到達点というものがある気がします。駅弁も、例えばSFマンガみたいに前の座席から食事が出てくるとかにはならないでしょう。さすがに。

 多分、この理由は、乗車時間が短くなったからだと思います。東京-新大阪は2時間ちょっと。リニアができたら2時間切るでしょう。車内でゆっくり食事をするというのは、朝食、昼食、夕食の時間に乗る人だけで、他の時間に乗る人は車内で食べる必要がありません。駅弁は不要なのです。スピードを追求する時代ですが、もっとのんびりした方がいい場合もあるのではないかと思います。