ディスタンクシオン

 昔、100分de名著でやっていたものを録画していましたが、観てみました。2020年12月の放送でした。観てない録画も結構溜まっています。

 この本は社会学の本です。フランスのピエール・ブルデューが書いた本ですが、「趣味」から解き明かしています。

 

 人は自由意志で趣味を選んでいると思っているかもしれませんが、ブルデューは社会階層つまり生まれや育ちなどの環境に影響されているとしています。例えば、私はゲームは好きですが、ゴルフやクルージングなんかに興味ありません。これらはお金がかかるからです。お金持ちではない私には無理ですし、それゆえ興味なく趣味にしていません。そして、私がお金持ちではないというのも、結局は生まれや育ちの影響を受けています。もしもお金持ちの家に生まれ、湯水のように教育に金をかけられていたら、いい会社に入り出世してお金持ちになっていたかもしれません。そうすると付き合いでゴルフとかしていたかもしれず、それに面白さを感じて趣味にしたかもしれません。その人の社会階層が趣味に傾向を与える。

 

 私の趣味はと言えば、まずゲーム、特にウォーゲームです。ご同輩には、さらに細かく、作戦級しかプレイしない、いや、第二次大戦だけ、それも東部戦線のみ、とか言う人もいるかもしれません。そういう人の中には、古代の戦術級なんて、という人もいるかもしれません。そこです。趣味は単体であるのではなく、他の趣味との比較から生じます。また、そこにはある種の闘いがあります。マウントを取ろうとするのです。趣味とは嫌悪から始まる。

 

 他者の合理性という言葉が出てきました。ある趣味を持つ人は、生まれ、育ちの中でそれをはぐくんできています。そこには何らかの理由があるのです。それを理解する必要なありませんが、知ることが大事です。そうしないと、排他的な人になってしまいます。そして他者と闘いを行うようになるのです。そのあたりは寛容性の問題かと思います。

 

 そういえば、私は不寛容な一神教に対して寛容ではないなと思ったのでした。不寛容に対する不寛容。なんと矛盾したことでしょう。