「ヴラド・ドラクラ」(大窪晶与)

 吸血鬼ドラキュラのモデルで有名なワラキア公ヴラド・ドラクラ(ブラド三世、串刺し公[ツェベシュ])の物語です。戴冠した1456年から物語が始まり、現在6巻まで進んでいます。面白いので、一気読みしてしまいました。

 物語は、ちょうどイギリスでは薔薇戦争の最中です。日本では応仁の乱がおこったあたり。1453年にオスマントルコによってコンスタンチノープルが陥落しています。そのブイブイ言わせている大国オスマントルコと、同じく大国ハンガリーに挟まれたワラキアは両者のバランスを取る難しいかじ取りが必要でした。また、当時のワラキア国内では大貴族の力が強く、君公はお飾り状態。ヴラド三世はまず大貴族と戦います。そして、国内統一した後で、大国との戦いに向かっていくのです。なんだか、初期の織田信長みたいです。犯罪に対する罰を厳しくしたため、商人が道路に荷物を置いていても盗られなかったというのも、一銭切りした信長に似ています。

 さて、ヴラド三世については、私は相当昔に中公の学術文庫かなんかで読んだことがあります。また、かなり昔にNHKだったかの歴史番組でも見たことがあり、今回のマンガで3回目です。やっぱり、マンガですと登場人物が生き生きとしています。文庫では肖像画はありますが文字情報だけで想像しないといけませんし、NHKの方は映画か何かのシーンがありましたが、あまり多くありませでした。マンガはいいですね。それに、メフメト二世との絡みとかいろいろ過去のシーンもあって面白い。まあ、史実と勘違いするのは厳禁ですが。

 現在6巻ですが、このペースで行くと後2~3巻で終わりそうです。最後はわかっていますが、楽しみです。