山崎の戦い その7

 前回はセットアップまででしたので、今回は実際の動きを見てみます。

 まず、チットを引きます。この攻城戦ハウスルールでは、前回で述べたように「秀吉方戦闘」、「明智方戦闘」、「回復」の3枚のチットしかありません。

 「秀吉方戦闘」チットが引かれたとします。秀吉方は攻め手なのでエリアを奪いに行かないといけません。さて、どのエリアを選ぶか。エリアとエリアの間に線があり、両端に数字が書いてあります。これは防御側のダイス補正値です。つまり数字が大きいほど固い守りとなります。エリアの近くにある数字が、そのエリアへの攻撃に対するダイス補正値になります。下図のようにもっとも守りが薄いのは「東大手から松井屋敷」、「西国街道から築山屋敷」の+1です。それ以外は概ね+2で+3や+4もあります。

 前回の通り、秀吉方の攻囲行動数は13です。この数だけ行動を起こせます。行動は以下の通りです。

実際の行動系

 移動:空いたエリアを自分のものにする(マーカーを配置)

 突撃:力攻めして攻撃したエリアを確保する

 射撃:敵兵力の削減(敵のエリアを取れない)

 

ダイス補正系

 アドバンテージ:突撃の時のみ、攻城側がダイス+1(1突撃毎1回)

 

回復系

 離散兵の糾合:離散兵スコアを兵力スコアにする

 

 攻城側のパターンとしては、「突撃」してエリアを確保するか(最低1行動数)、「射撃」でエリアを開け「移動」でエリアを確保するかです(最低2行動数)。

 守城側のパターンも同じですが、あまりエリアを増やすと兵力スコアが減ります。ちなみに、本来のゲームではターンの進行と関係するので打って出ることにも意味はあります。うまくすると時間が稼げるからです

 このハウスルールでは、1D6の出目をターン数にするとか、どっちかが飽きるまで(その日の攻城をあきらめるか、城方が降伏するか)でいいでしょう。

 その他、守城側も攻城側も適時回復(「離散兵の糾合」)を行う必要があります。離散兵の状態ではいくらあっても戦力にならないからです。

 

 実際に動かしてみましょう。 

 秀吉方は1行動数を使って「西国街道」から「築山屋敷」を攻めます。このライン(攻め筋)では「築山屋敷」エリアの防御値(ダイスの補正値)は+1です。なので「突撃」します。

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秀吉方最初の攻め

 

 「突撃」時のダイス補正は以下の通りです。

攻撃側

 隣接自軍エリア数:+エリア数(エリアにコントロールマーカーがいる場合)

 犠牲数:兵力スコアを減らした分(上限あり)

 アドバンテージ:+1/攻撃回数(行動数が1減る)

防御側

 防御値:複数のエリアから行われた攻撃の場合は一番低いもの(弱いところから狙われる)

 犠牲数:兵力スコアから減らした分(上限あり)

 

 「西国街道→築山屋敷」の攻撃の場合、以下のようになります。

攻撃側

 出目+1(「西国街道」)+1(犠牲数)+1(アドバンテージ)

 

 兵力スコア(20→19)と行動数(13→11)を減らします。秀吉方の行動数は元の13から突撃-1、アドバンテージ-1で11になります。

 

防御側

 出目+1(防御値)+1(犠牲数)

 兵力スコアが8→7になります。補正は同じなので出目勝負ですね。防御側の兵力スコアと離散兵スコアが小さい場合は、攻撃側が犠牲数を使ってきた場合は対抗して犠牲数を使うか、ダイス補正が攻撃側有利のままにしておくか難しい判断が必要になります。今回は秀吉方兵力スコア20に対し、明智方は兵力スコア8+離散兵スコア15なので少し余裕があります。ただし、「離散兵の糾合」は攻囲行動数を使うので明智方は1回で最大10までです。「回復チット」で離散兵スコアを兵力スコアに変える場合、1/3の確率で離散兵が消えます(逃亡か)。

 

 補正した出目を比べます。

 

攻撃側<防御側:突撃失敗。出目の差の1/2(切り上げ)だけ攻撃側のコントロールマーカーか兵力スコアを減らします。離散兵スコアは増やしません。

攻撃側=防御側:これは少し複雑です。

 ①攻撃側がコントロールマーカーか兵力スコアを1減らし離散兵スコアを1増やす。

 ②隣接エリアにコントロールマーカーがある場合:兵力スコアを1減らすと突撃成功

 ③防御側も兵力スコアを1減らすと②が無効

 ④②で隣接エリアにコントロールマーカーがない場合:突撃終わり

 こんな感じでしょうか。攻撃側が兵膂力をすりつぶし(①)、隣のエリアからの増援で攻撃したエリア確保(②)。でも、防御が側増援を行ってエリアを取り戻す(③)。

攻撃側>防御側:突撃成功。防御側コントロールマーカーを除去し離散兵スコアを+1する。攻撃側は元いたエリアのコントロールマーカーを攻撃したエリアに移動させるか、兵力スコアを1減らして攻撃したエリアにコントロールマーカーを置く。

 

 コントロールマーカーは支配マーカーの意味だけではなく、ユニットのように物理的な兵力も表しているので、元いたエリアから攻撃したエリアへの移動や、兵力スコアからの増援を受けて元いたエリアと攻撃したエリアに兵力が占めるという感じになります。元いたエリアにもコントロールマーカーを置く意味は、次に攻撃するエリアの隣接自軍エリアダイス補正に関係するためです。攻めようによっては、元いたエリアにコントロールマーカーを置く必要がなくなることもあります。限られた兵力なので、不要なコントロールマーカーは置かないようにする必要があるでしょう。コントロールマーカーを置いたら兵力スコアに戻せません。

 

 さて、秀吉方が突撃成功して「築山屋敷」を確保したとしましょう。負けたら勝つまで損害を顧みず「突撃」あるのみです(ダメな指揮官の典型かも)。この時、秀吉方の兵力スコアは元の20-1(犠牲数)-1(「西国街道」にコントロールマーカーを残して「築山屋敷」を取るため)で18です。また、明智方の兵力スコアは犠牲数-1で7、離散兵スコアは「築山屋敷」から敗退+1で16です。秀吉方はまだ行動数11残っていますので、さらに攻撃を続けます。

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秀吉方2番目の攻め

 次に狙うのは「観音堂」です。「築山屋敷」と「東大手」から攻められますので、隣接自軍エリア数が2になります。また防御値は最も低いものを使うので「築山屋敷」からの+1が使えます(「東大手」からのみだと+2)。

 「観音堂」を落とせば、「南桝形門」への攻撃は隣接自軍エリア数+3(コントロールマーカーを置いている場合)なので、防御値3に十分対抗できます。

 このように、弱いところ弱いところを突いていきます。

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秀吉方3番目の攻め

 「射撃」の場合は、隣接するコントロールマーカーに対し、自軍のコントロールマーカーが攻撃する形になります。

 出目+目標エリアに隣接する自軍コントロールマーカー数-最も低い防御値

 これが4以上なら、防御側は、目標エリアか隣接するエリアからコントロールマーカーが除去するか、兵力スコアを減らします。どちらの場合も離散兵スコアを+1します。離散兵がどんどん増えていきます。この射撃でエリア空いた場合、攻撃側の行動数が残っていれば「移動」でこのエリアを取ることができます。

 

 「明智方戦闘チット」が引かれた場合、攻囲行動数10で反撃(「突撃」や「射撃」)するか、離散兵スコアを兵力スコアにするか(「離散兵の糾合」)決めますが、多分上記のような状況になると兵力スコアが少なくなっているので「離散兵の糾合」がいいかと思います。

 

 「回復チット」の場合は、両軍とも離散兵スコアごとにダイスを振ってルール通りに結果を求めます。この時、離散兵が逃亡していなくなることがあります(1/3の確率)。日本語ルールでは、離散兵が10いたら10回ダイスを振ってそれぞれ決めるのか、1回振って1スコアだけ決めるのかわかりかねます。まあ、ダイスは4つありますので、多分前者だと思われます。回復チットを引くごとに、ちまちま1スコアずつやっていては日が暮れます(防御側にとってはいいことかも)。

 

 今回はずいぶん書いてしまいました。次回があれば、勝龍寺城マップの攻略の流れと改定ルール案について書ければと思います。