ヘクスとヘクスサイドについて

 Must Attackで、りていくさんが提議していた点についてです。あっちに書くと長くなるのでこっちに書いておきます。
 りていくさんが例としてあげたのは、「荒地ヘクス」と「荒地ヘクスサイド」に移動コストがあるゲームで、「荒地ヘクス」から「荒地ヘクス」への移動では、「荒地ヘクスへの進入コスト+荒地ヘクスサイド通過コスト」が必要では、というものでした(りていくさんの対戦相手の言)。
 まず思ったのは、荒地という同じ地形に対して、ヘクスとヘクスサイドの両方に移動コストの設定があることが、そもそもの間違いだという事です。これが「荒地ヘクス」と「ガリーヘクスサイド」とかなら、何の問題もありません。デザイナーやデベロッパーの中には、ヘクスとヘクスサイドの意味の違いが分かっていない人がいるようです。
 ヘクスは空間を示し、そこで部隊が展開できたりします。一方、ヘクスサイドには空間がありません。まあ、厳密にいえば、例えば戦術級ですと壁ヘクスサイドの場合、数cmの厚みがありますが。それはそれとして、ヘクスサイドは部隊を配置できる空間はありません。これ、重要。ヘクスサイドの意味は、移動の阻害要因という事です。
 「荒地ヘクス」に部隊が進入し展開する場合、それなりの移動の困難さや展開に時間がかかったりします。ヘクスに進入した場所(ヘクスサイド近辺)でウロウロしているわけではなく、ヘクス中心やその先まで移動するためです。一方、「荒地ヘクスサイド」ではちょっと跨ぐだけです。「ガリーヘクスサイド」とかなら別ですが。無論ヘクスのサイズとの兼ね合いがありますが、通常ではヘクスのサイズよりも相当小さい幅になると思います。
 例えば、幅5m深さ10mの「ガリーヘクスサイド」がある場合、そこの移動にはそれなりのコスト(時間)がかかります(移動阻害要因)。一方、幅5mの荒地の移動にはさほどコストがかかりません(移動が阻害されない)。つまり「荒地ヘクスサイド」というものの存在自体が間違っています。なのに、マップにそれを入れるというのは、ヘクスとヘクスサイドの意味の違いが分かっていないという事なのです。

 

 似たような経験があります。Valley of Tearsです。BCSにはストップ地形「ヘクス」というのがあり、そこに入るには+4MPで移動終了します。Valley of Tearsでは、対戦車壕がストップ地形「ヘクスサイド」です。で、これどう動作するの?対戦車壕に入らないので、その手前のヘクスまでは追加MP無しで行けるでしょう。で、MPが残っていても対戦車壕ヘクスサイドを越えられない(移動停止)?対戦車壕ヘクスサイドを超えて(+4MPで)、その先で停止?これもヘクスとヘクスサイドが分かっていない事例です。対戦車壕はヘクスにすべきでした。現象としては、対戦車壕にハマって、その「前後」で部隊が混乱し、再編成するために移動が停止しているとみなせるからです。対戦車壕を挟んで、そのヘクスに部隊が展開しているのです。

 

 また、地形ではありませんが、SCSのArdennesⅡのZOCボンドヘクスというものがあります。ZOCボンドはシモニッチ御大が考えてすばらしいものですが、ArdennesⅡでは中途半端に利用しています。ZOCボンドヘクスはあるのですが、ZOCボンドヘクスサイドはありません。少なくともルールの記述では「ZOCボンドヘクス」です。なので、周囲5ヘクスを包囲されていても、開いている1ヘクスから補給が可能です(このゲームはZOCがない)。シモニッチZOCボンドなら補給は通らないのですが。これも、ヘクスとヘクスサイドが理解できていない事例です。

 

 うーん。もうちょっと、ちゃんと地形とかヘクス/ヘクスサイドの意義を考えてゲームを作って欲しい。