NHKで唯一評価している番組「100分de名著」で、過去に録画したものを見ています。今回は「三酔人経綸問答」です。著者は中江兆民で明治20年(日清戦争の7年前)に書かれたものです。中江兆民は民権運動家として歴史の教科書に載っていますが、衆議院議員になったりもしています。すぐやめたようですが。キレ易かったらしい。
タイトル通り、三人の酔っぱらいが、日本の行く道について語っています。これがまた、予言したかのような感じでして。
酒好きの現実主義者「南海先生」の元に、見ず知らずの2人が酒を持って訪れます。一人はぴっちりとした洋装の「紳士君」。もう一人は掠り袴の「豪傑君」。紳士君は理想主義者で、軍備を捨てて対話すべきだ、という思想を持っています。一方の豪傑君は侵略主義者で、衰えた大国に侵略して領土を掠め取り、日本も大国になるべきだと主張します。これが予言的です。紳士君の理想主義は、現代でも受け入れがたいものでしょう。それに対して、南海先生は平和主義も侵略主義もいいけれど、国民のレベルに合わせた政策を取らないといけないよ、と誤魔化しています。南海先生の言う事は、「当たり前」の事なんですが、なんか、その「当たり前」ができないものなのですよね。政治業者こそ読むべきだと言っていました。
この本は、国民に広く読んでもらおうと、文章は平易で、かつ口語体で書かれています。ちょうど時期的には文語体から口語体への移行時期だったようです。
私も酔っ払いながら観ていました。