「ブリタニア列王史」(ジェフリー・オブ・モンマス)

 アーサー王物語の元ネタとなった、有名なジェフリー・オブ・モンマスの「ブリタニア列王史」を読みました。

 前にブルフィンチの「中世騎士物語」を読んでいたので、アーサー王伝説の前段階は知っていたのですが、一応元ネタも読んでみたいと思っていたのです。

 で、読んだのですが、うーん、固有名詞が結構違う。いや、まったく別というのではなく、和訳する上でずいぶん変わったのか。有名なアーサー王だけではなく、モードレッドやマーリン、ガウェインなどが、ラテン語系の名前になっています。シェークスピアで有名なリア王もレイアになっています。アーサー王はアルトゥールス、モードレドゥス、メルリヌス、グワルグアヌス、グエンフウァラなど。地名も同じで、カムランはカンブラヌス。

 ところで、アーサー王とモードレッドの最後の戦いは、カムランの丘で行われたと思っていましたが、ジェフリーの原本ではカムラン河畔の様でした。なんと!桶狭間が山か凹地かの違いの様だ。丘なら凸地ですが、水は低みに流れるので、河畔なら低地です。

 さて、「ブリタニア列王史」は、ウェールズ語の伝承をジェフリーがラテン語訳したものです。つまり、ブリテン人側から見た著述なんですね。以前に読んだ「戦国ブリテン」はもう少し時代が下りますが、こちらは侵略者のサクソン人側の歴史です。サクソン人はゲルマニアから来ましたので、ザクセンと関係があるような気がします。ピクト人も元は黒海沿岸にすんでいたスキタイ系の民族らしい。結構人の移動が激しかったんだなぁ。日本だとなんかチマチマしている気がしてきました。