モンゴル高原における遊牧民族の発生と発展について、文献資料ではなく考古学的知見(遺跡とか発掘された遺物とか)を元にした研究書です。作者のモンゴル高原大好きっぷりがよく分かります。
作者は学者として30年以上もモンゴル高原に行き、そこで生活して、いくつもの発掘調査に関わっています。中には新発見もあったとか。結構自分の功績が書かれています。また、第二次大戦直後にソ連が行った調査について杜撰とか書かれていて、まあ連中だからなあと思ったりしたのでした。
その他、こういった遺跡に良くある盗掘について書かれていて、いつも思うのですが歴史的資料を盗掘する犯罪者なんかは死刑でもよいのでは。でも、中には盗掘途中で穴に犬と一緒に落ちて死んでいる骨が見つかったりもするようです。ちょっとざまあ見ろと思ったり。この例はお墓が作られて直ぐのもののようです。でも、最近でも盗掘はあり、大体が中国の闇ルートに流されているとか。中国人だからなあと思ったりします。歴史的価値を金銭的価値に置き換えないで欲しい。
それはさておき。
この本では、王朝が発生する以前のモンゴル高原の遊牧民族が、次第にまとまってきて王朝というものを作り上げ、それらの栄華盛衰の後、大モンゴル帝国が隆興し、そして衰退したところまでが描かれています。そして、それらを縦軸にし、横軸は考古学的知見を充てて、当時の人の暮らしや文化を類推しています。なかなか興味深い本でした。