アニメ「アレクサンドロスの決断」(原作池田大作)

 何度も書いていますが、私はアレクサンドロス大王が大好きです。ゲームは沢山持っていますが、映像作品は案外少ない。実写映像としては、1956年の「アレキサンダー大王」は録画なのでレコーダが壊れると見れなくなります。2004年の「アレキサンダー」はDVDを持っています。これも録画ですが、インドTVドラマ「ポロス」もあります。こちらはアレクサンドロスが侵略者側として描かれている稀有な作品です。まあ、最後はアレクサンドロスとポロスの一騎打ちで仲良しになるというジャンプマンガっぽいラストでしたが。アレクサンドロスの死の場面も描かれていて、仏教的なセリフが面白かった。アニメでは日韓合作の「アレキサンダー戦記」ですね。内容はアレだけど、貴重なアニメ作品です。

 

 さて、ネットでタイトルのアニメがあると知りました。早速購入して視聴しました。

 「文部科学省選定(少年向・青年向)」と書いてあります。まあ、内容は推して知るべし。結構突っ込み処も多い。

 物語の主軸は、アレクサンドロスが病気になった時、薬を調合した医師が毒殺を企んでいると手紙で知らされますが、意に介さずに薬を飲み干したというエピソードです。その医師がミエザでのアレクサンドロスの親友としています。で、友を信じるか、信じないかといった葛藤が「決断」の箇所です。元々は聖教新聞社が発行する「高校新報」での連載小説です。このあたりが「文部科学省選定」に繋がったのでしょう。

 

 さて突っ込み処です。

 隻眼のはずのフィリッポス2世は両目がパッチリだし。オリュンピアスとイイ夫婦仲で家族団らん。

 ペルシャ軍に囲まれたアレクサンドロスから兜と馬を奪って、身代わりになるプトレマイオス。まるでどこぞの三方ヶ原の様な。

 原作に出てこない名前付きの侍女。こいつが毒殺犯かと思ったのですが、そんなこともなく。何のために出したのか?男ばっかりだと男子高校生に受けないからか?確かに女子高校生向けの水着回はありましたが。

 現代的価値観で物事を見ているのも、ちょっとなぁと思いました。ペルシャ遠征の目的は、アケメネス朝の圧政からペルシャ国民を解放する、だそうです。また、王といえども法律を守らなくてはならない、とか、王は国民の幸福のために奉仕しないといけない、とか。Fate/zeroの聖杯問答と比較すると面白い。

 

 「友とは、鏡に映ったもう一人の自分・・・」というセリフがありまして、「おのれの放った銃弾が、鏡の中のおのれを貫く」というボトムズの予告を思い出しました。

 

 「文部科学省選定」のせいなのか、アリストテレス「先生」の存在感が大きい。

 

 感心したのは、鐙を使っていない事でした。メイキングで作画監督が、馬が大事、馬がちゃんと描けていれば大成功、といったような事を言っていましたが、その成果が出ているようです。

 

 まあ、持っていて損はないアニメだなとは思いました。安彦先生の「アレクサンドロス」をアニメ化するというなら、全財産を投資してもいい(大して無いけど)。