「ミリンダ王の問い」(宮元啓一訳)

 有名な仏教経典です。ギリシア人のミリンダ王と仏教の高僧が問答するものです。私はミリンダ王はアレクサンドロスだと思っていて、「推しの本だ!」と思わず買ったのですが、解説を見て違う事を知りました。まあ、本の表紙のコインを見れば分かりますね。ミリンダ王は、アレクサンドロスから約170年ぐらい後の人で、バクトリア王国(アフガニスタン)の最盛期頃の王様です。名前はメナンドロス。うん、アレクサンドロスよりメナンドロスの方が「ミリンダ」に音が近いですね。

 ミリンダ王は、いろいろの仏教の高僧と問答しますが、いずれの高僧も最後には口をつぐんでしまいました。このミリンダ王を困った人扱いしてます。そこで、ナーガセーナという高僧がミリンダ王と問答するためにやってきました。そしてミリンダ王の数々の問いに対して、譬えなど用いて解いていきます。ミリンダ王は、最後に「余は貴殿の仰ることを認める者であります。」と言って終わります。

 読んでいたら、なるほどと思うような解答もあれば、ちょっと強引だと思うものもありました。でも全体的には納得できるものが多かったです。

 それにしても、この経典の中でアレクサンドリアやシーナ(支邦、中国)が言及されていて、この時代のインドでは中国の存在が分かっていたようです。アレクサンドロスも、もしかしたら中国の事を耳にしていたのかもしれませんね。ヘレニズムだなぁ。