タクテクス誌4号の付録ゲームです。これも自作カウンターをもらいました。マップはなかったので、本誌をコピーしてプレイしました。
第4次中東戦争のゴラン高原戦線のゲームで、ダイナミズムをシミュレーションするために作成したと書いてあります。シェルブール攻防戦では、確かにダイナミックな機動が見られませんでしたから。そんなわけで、CRTも後退系が多いです。
ところで、このゲームの戦闘システムは独特で、CRTは戦闘比とか戦闘差ではありません。参加ユニットの数だけダイスを振り、好きな出目(大抵は一番でかい奴)を選んでダイス修正を適用して結果を求めます。また、イスラエル軍、シリア軍別になっており、それぞれの軍の練度などの違いを表現しています(イスラエル軍の方が優秀)。また、正面攻撃と側面攻撃(後述)が別のコラムになっています。なので、合計4コラム。勿論、側面攻撃の方が損害が大きくなります。
さらに独特なのが同一師団効果です。同一師団のユニットのうち1つでも接敵していれば、他の師団も攻撃に参加(ダイスの数を増やす)できます。ただし、師団のユニットは隣接していないといけません。シリア軍は1個師団が3ユニットです。イスラエル軍は移動に関しては独立部隊として考えます(つまり隣接していなくてもよい)。ただし、戦闘の場合、ダイスの数を増やすためには隣接していないといけません。で、理論上、以下のような事も可能です(多分)。
これですと、イスラエル軍はダイスを6個振れます。確率的に最大出目6が出ることになります。側面攻撃なら一発除去(De)です。
もう一つの同一師団効果は側面攻撃です。3つのユニットが120°~180°で並んでいれば側面攻撃できるというものです。つまり、以下の様なものです。
一番下の例も120°ですが、どうなんでしょうか?180°の様に離れていてもOKならアリの様な気がします。また、直接照準射撃する時代でもないので、味方部隊の頭越しの攻撃も出来そうです。でも側面攻撃という概念からすると攻撃方向が前面では?という気がしますので、今回は無しとしました。360°表示なら240°扱いですし。
さて、プレイしてみました。第1ターンのシリア軍の移動は以下の通りで、側面攻撃を行います。イスラエル軍はお祭りにかまけて部隊が少ないです。シリア軍の奇襲攻撃が始まります(第1ターンは+1DRM)。
シリア軍はSAMによる航空支援阻止が行えるため、ぞれぞれのゾーンでDRMがもらえます。Cゾーンはシリア軍の攻撃で+2、イスラエル軍の攻撃-2、Bは+1と-1、Cはどちらも0です。第1ターンの奇襲DRMも合わせて、いずれの箇所もDRM+3。側面攻撃なら6が出たらDeです。で、2か所でDeになりました・・・。イスラエル軍厳しい。まあ、史実通りっぽいですが。
イスラエル軍は増援がやってきますが、戦線はスカスカです。なお、シリア軍がブノット・ヤコブ橋を渡ればサドンデスです。道路は移動力1でどこまでも行けます。道路を空けるわけにはいきません。
シリア軍はさらに囲んできます。なお、シリア軍の師団のユニットは隣接していないといけません。なので、どうしても団子状になります。
シリア軍は押し込んできます。裏返っているのはイスラエル軍ユニットです。これは損耗状態で、攻撃不可、移動力減少ですが、ZOCはあります(多分)。
イスラエル軍には損耗回復あります。シリア軍にはありません。イスラエル軍の増援と回復がやってきました。
ちなみに攻撃にほぼArはあり得ませんので、どんどん攻撃した方がお得です。そんなわけで、イスラエル軍は反撃しました。シリア軍の1ユニットを損耗させます。
時は流れ、第4ターン。シリア軍は損耗が続きます。BソーンなのでDRMが小さくなっているのも原因です。
そしてゲーム終了時。シリア軍は大分押し込んでいます。史実ですと最終ターン(10/11)にはシリア領内への侵攻が始まるのですが・・・。イスラエル軍は除去されたユニットは4ユニット、損耗は1ユニット。シリア軍は除去されたのが2ユニット。勝利判定はイスラエル軍2VP、シリア軍9VPで、シリア軍の勝利です。まあ、ここまで押し込んでいたらねぇ。
イスラエル軍の敗因は、そもそも、最初に1/36の確率で2ユニット除去されたのが痛かった。そのおかげで、ほとんど同一師団効果を発揮できませんでした。単独ユニットでの攻撃では正面攻撃のみになり、除去は望めません。除去しないとVPにできませんので。
ゲームはルール2ページ、プレイ10~20分と書かれています。手軽で、ダイスを沢山振れて、展開もダイナミック。なかなか面白いゲームです。CMJの次号付録「ゴラン」のプレイの合間に良いゲームではないかと思います。