「ナポレオン」(長谷川哲也)最終巻

 『獅子の時代」第1巻から買い続けてきた「ナポレオン」も遂に最終巻となりました。ナポレオンの死はこの巻の途中で描かれ、残りはその後について描かれています。最後まで生き残ったマルモンと道化役のビクトルの死までです。うーん。最後は第1巻のアウステルリッツに持っていくのかと思ったんですがねぇ。ダグラムみたいに。

 それはそれとして、とても面白いマンガでした。いくつも好きなシーンがありますが、一番は「覇道進撃」第7巻のアウエルシュタットでのダヴ―の「貴様は負けるために戦っているのか」でしょうかね。その他にも「覇道進撃」第5巻のウルムやトラファルガーとか。「何も恐れず戦った10年前のあの日・・・偉大なネルソンと一緒に死ぬべきでした。こんなみじめな日が来るとは思いもしなかった。」など泣けます。「覇道進撃」第11巻のランヌの死のシーンも好きです。「撃てなかった。だったら仕方がない。地獄まで付き合おうと・・・」

 この本の良い所は、「大陸軍戦報」といって解説が載っている所ですね。マンガ内で描かれない細かな戦況がよく分かります。

 表紙・裏表紙の裏の一コママンガもいい感じ。「三密」は笑いました。また、だんだん作者の本音が出てきている所が好きです。「ええっ、オリンピックが終わっても、ずっとオリンピック進行とか、おかしいじゃないですか」、「騎兵一万の突撃・・・描きたくない」

 ビクトルもいい味を出していました。イタリアからズ~っと戦ってきたのに伍長どまりとか。しかも結構活躍しているんですが。当初は死刑執行人としてマラーを殺したシャルロット・コルデーの首をペンペンしてサンソン親方に殴られていました(「獅子の時代」第2巻)。そういえば、「獅子の時代」の時の絵柄は「北斗の拳」ぽくて、最初見た時は原哲夫が描いているのかと思いました。単行本の帯では安彦先生が「オトコ臭くて死にそう」とか書いていましたっけ。

 取り合えず、「獅子の時代」全15巻、「覇道進撃」全27巻。お疲れさまでした。