『南北戦争の歴史』(B.I.ワイリー)

 読み終わりました。原書は1956年出版で、訳書は1976年出版のようです。私が購入したのは、多分誰の手にも触れられていなかったもののようで綺麗でした。

 内容は、「The Road to Appomattox」という英語のタイトルのように南軍の敗因についての考察です。三章に分かれていて、南部連合国大統領ジェファーソン・デーヴィスについてと、民衆の士気についてと、致命的な失敗についてが書かれています。

 著者も書いていましたが、南北戦争は太平洋戦争に似ていて、南部連合国は日本と同じようだという事です。これは前にも書きましたが、ワイリーもそういっているので私の感じ方も間違っていなかったようです。実際にこの本を読んていると、何か戦中の日本のことが書いてあるような気になりました。例えば南部連合政府や議会は情報をあまり国民に公開していないというあたり。ゲティスバーグとヴィックスバーグの敗戦1ヶ月後でも南軍が勝っていると新聞に書かれていたようです。大本営発表を見る思いです。

 ただ、南部の事しか書いていないので、それに比べて北部はどうだったかはわかりません。その辺も書いてあると参考になるのですが、南部の致命的失敗が本当に敗因かは、北部の状況にもよるでしょう。北部でも同じような失敗をしていたなら、それは南部の致命的失敗とは言えない気がします。そのあたり少し残念。

 それと、原書出版年代がアメリカの最盛期(ベトナムの泥沼の前、朝鮮戦争も一応勝利と言えるし)なので、そのあたりを割り引いてみないといけない気がします。

 さて、次は何を読もうか。