『ヘンリー八世 暴君か、カリスマか』(陶山昇平)

 『冬の王』(トマス・ペン)を読んだ時、陽気な王子様だなと思ったのですが、即位した後は酷い王様だった・・・。

 ヘンリー八世と言えば、結婚と離婚を繰り返したり(しかも離婚した妻を処刑した)、バチカンと対立して自分の意のままになるイギリス国教会を立ち上げたりした人と世界史では習った気がします(ずいぶん昔なので)。結婚と離婚の繰り返しのあたりは、さすが女好きのエドワード四世の孫だなと思います。

 ちなみにヘンリー八世の母親はエドワード四世の娘なので、遺伝的にエドワード三世に繋がっています。でも、ヘンリー七世の方は、ヘンリー五世の未亡人が家臣と結婚してできた系統なので、フランス王家はいざ知らず、イギリス王家に対する継承権は遺伝的にはありません。もし遺伝子という考え方が一般的ならヘンリー・チューダーは王位につけないはずだった。

(追記)

 よく調べたら、ヘンリー・チューダーの母親マーガレット・ボーフォートの方で遺伝的に繋がっていました・・・。反省

 

 閑話休題

 陶山昇平は少しチューダーに厳しい気がしますが、『ヘンリー八世』を読むと結構暴君寄りな感じがしました。とはいえ、結婚・離婚の繰り返しは世継ぎが生まれなかったこともありますし、バチカンとの対立もそれなりに理由はあります。また、騎士道に憧れて戦争を繰り返したりしていますので、そのあたりは情状酌量の余地はなさそうです。

 昔、私がシェークスピアにハマっていたので、イギリス旅行した両親がヘンリー八世の小さな銅像をお土産に買ってきましたが、個人的には八世より五世の方が欲しかった・・・。子の心、親知らず。ヘンリー八世もまた、娘のメアリーやエリザベスの心の内を全然わかっていなかったと思います。