Red Pappies Campaign Vol.3(Compass Games)を試してみました

 このゲームは第一次世界大戦の中隊規模の戦術級ゲームです。ボリューム1はイープル戦を1914年、1915年、1917年のマップを使って行います。ボリューム2は1914年の東部戦線におけるリマノワ戦です。そして、ボリューム3は1917年10月23~27日のラ・マルメゾン戦をテーマにしています。ボリューム3では1ターン2時間、1ヘクス500mで、戦車(SchneiderとSaint-Chamond)も出てきます。

 ラ・マルメゾンの戦いは、フランス軍の春季攻勢(ニヴェル攻勢)の失敗による失地を回復しようとした戦いで、場所としてはソワソンとランのちょうど中間あたりです。Googleマップで見ると、ゲームマップにある池やマルメゾン砦(Fort de Malmaison)があり、また道路もそれっぽいところに見られたりします。現在のマルメゾン砦は戦没者墓地になっているようです。

 

 和訳が終わったので、とりあえず試しにプレイしてみようかと思いました。シナリオ2の「血まみれの反撃(Bloody Repulse)」はマップの範囲が狭いので手頃かなと思いプレイしてみました。戦車は出てきませんが。

 ドイツ軍(グレー)は、7個歩兵中隊、3個Eingreif中隊(ちょっと優秀)、2個機関銃分隊です。一方、フランス軍(ブルー)は、12個歩兵中隊、2個迫撃砲分隊です。これがキャンペーンゲームですと、ドイツ軍は30個歩兵中隊、10個Eingreif中隊、10個機関銃分隊、5個迫撃砲分隊、5個77mm砲、2台のワゴン、それに増援が20個Eingreif中隊、2台のトラックとなります。また、フランス軍は60個歩兵中隊、10個機関銃分隊、5個迫撃砲分隊、5個工兵中隊、5個射撃炎放射器分隊、20個Schneider CA1戦車、10個Saint-Chamond突撃戦車、3台のトラック、3台のワゴンとなります。ちなみにトラックやワゴンはユニットとしてマップ上に置かれるのではなく、戦闘ユニットを後方から前線に送る移動手段マーカーとして扱われます。もちろん戦車はちゃんと戦闘ユニットです。

 

 さて、下図がセットアップの状況です。セットアップはフリーですので、とりあえずすべて前線の塹壕に入れました。フランス軍が攻撃側で、アレマン(Allemant)のAR16、AR17を6ターンで占領すれば勝利です。

 フランス軍のユニットが、兵科記号がばらついているのは散開面であるためです。ドイツ軍のように集結面で突撃すると臨機射撃で+1DRMが付いて被害を受けやすくなるため、初期配置で散開面にしています(セットアップ時に自由に選択できます)。

 標高レベルもレベル0(低)~4(高)があり、LOSに影響します。とはいえ、移動は全て1移動力で隣接ヘクスに入れるので、標高差はさほど影響しません。射撃の高度差補正もありません。

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シナリオ2のセットアップ

 ターンシーケンスは、イニチアチブ決定フェイズ、交互の行動フェイズ、管理フェイズと別れていて、イニシアチブは1d6降りあって大きい目を出した方が先攻で、出目の差の分だけ交互に行動できます。同じ場合はドイツ軍先攻で出目差3とみなします。ボリューム3ではフランス軍が攻撃側ですので、このルールには少し違和感があります。

 

 第1ターンのイニシアチブ決定後、最初にフランス軍の準備砲撃があります。第一大戦物の定番です。シナリオ特別ルールで、準備射撃はドイツ軍のセットアップエリア全域に対し、粉砕砲撃するとなっています。準備砲撃を含む盤外砲撃には「粉砕」と「麻痺」があり、粉砕では各ユニットに対し1d6で6が出たら除去、麻痺は2以上で行動終了(Spent)になります。行動終了になったら、ターン中の以後のフェイズで何もできません(近接戦闘の防御はできます)。また、砲撃では塹壕や村にいなければ無条件で除去になり、いても散開面にされますので、かなり強力です。盤外砲撃はゲーム中いつでも呼び出せますが、効果を発揮するのに遅れが生じるので短いターンのゲームでは早めにやっておかないといけません。

 

 準備砲撃後の状況が下図です。ドイツ軍は全て塹壕にいるので除去はありませんが、散開面にされています。粉砕砲撃による結果で2ユニットが除去されました。1/6の確率としては期待値通りです。機関銃が除去されなかったのは幸いでした。これがこの後で猛威を振るいます。

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第1ターン 準備砲撃後の状況とフランス軍の行動

 今回はイニチアチブの出目がドイツ軍5、フランス軍6なのでフランス軍が先攻なのですが行動数が1なので、交互に1回ずつ行動したらターンが終了です。1行動でできるのは、①1ユニットの行動、②1スタックの行動、③最大6ヘクスで最大12個のユニット集団の行動、④盤外砲撃グループへの指示、⑤特別ルールによるユニット集団の行動です。ここで、「集団(Mass)」というのは、同一国籍、同一兵科のチェーンができているものです。

 

(追記)ルールの間違いに気が付きました。集結面でないと「集団」になりませんでしたが、上記の例では散開面になっていますので集団行動はとれませんでした。さらに、6ヘクス制限なのに7ヘクスで集団行動を起こしています。・・・まあ、最初ですから・・・。

 

 今回は上記の③でフランス軍は行動します。それぞれ矢印のように突撃しますが、AN16とAN17のスタックの下は迫撃砲なので集団行動できません。合計12ユニットで突撃します。その結果が下図です。

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第1ターン フランス軍の行動フェイズ終了後

 戦い方としては、まず第1波が行動して相手の臨機射撃を誘い、相手が行動終了になったのを見計らって第2波が突撃します。行動終了になったら臨機射撃ができなくなりますので。

 ところが、機関銃は臨機射撃をしてもゾロ目を出さない限り行動終了になりません。おかげで北の方では除去や行動終了が多発しました。除去は射撃側の射撃力(ユニット左上の数値)やもろもろのダイス修正と2d6の出目を合計して11以上になった場合に起こります。それ以外では目標側の結束値(Cohesion:このいい和訳がわかりません。結束、団結とか訳しています)よりも大きい場合は行動終了になります。それに耐えれば移動なり射撃なりの行動を続けられます。

 状況としてはドイツ軍除去ユニットが3、フランス軍が5。ちょっとフランス軍が攻め切れそうにありません。まあ、とりあえず、テストですので、ここで終了とします。

 

 感想としては、第一次大戦の雰囲気がよく出ている気がします。盤外砲撃による被害も1/6の除去ですのでそれらしいです。突撃も複数の波で行う方がいいあたりがそれっぽい。また機関銃の凶悪さもそれっぽいです。Cohesionをベースにしたシステムですが、必ずしも兵士の物理的集結状態(方陣の様な)を示しているのではないようです。この辺りはGreat Battle of AlexanderのCohesionとは違うようです。こちらはCohesionに打撃が累積してユニットの除去に繋がっていきますので。

 それにしてもポンポンとユニットが飛んで逝きますが、キャンペーンですと次の日に半数が戻ってきますので、死傷というよりは迷子ということなのでしょう。それもまた第一次大戦らしい。