キツネとハリネズミ 再び

 数日前、「キツネとハリネズミ」というタイトルで、『大戦略論』(ジョン・ルイス・ギャディス)の紹介をしました。

 「キツネはたくさんのことを知っているが、ハリネズミは大きいことを一つだけ知っている」
 キツネはいろんなことをやる
 ハリネズミは一つのことを突き詰める

 と、書いたやつです。最初は、この2つのどちらかの話かと思っていましたが、読み進めたら違いました。両方持っていないとダメだということです。

 ハリネズミの持つコンパスで常に目的の方向を見失わず、キツネの感性で様々に変化する状況に対応することが大戦略の要諦です。どちらか一方だけでは目的と手段を混同したり、猪突猛進して崖から落ちたりします。

 また、際限なく広げることができる目的と、有限な手段とのバランスも大事であるとしています。目的が広がりすぎてしまった例としてクセルクセスやナポレオンが挙げられています。たとえ何十万という兵力(手段)があったとしても、状況の変化についていけず、自滅していくことがあるということです。彼らはハリネズミだけしか持っていなかったのです。

 そこで、「二つの相反する考え(キツネとハリネズミ)を同時に持ちつつ、しかもきちんと働く(バランスをとる)」知性が優れた知性としています。

 上記のことを、様々な歴史上の人物の話を交えて描き出しています。なかなか面白い本だったなというのが感想です。