山崎の戦い その1

 tenkatoitsu(なぜか小文字)のシステムが難しい、わからないという話をよく聞きます。私はさほど難しいとは思っていないのですが(ASLの方がよっぽど難しい、と言うかルールが多い)、そうでもない方が多いようです。

 私もさほどルールに習熟しているわけではありませんので、備忘録的にルールをまとめたいと思います。参考になれば幸いです。

 

 ちなみにtenkatoitsuには長久手の戦い、山崎の戦い関ケ原の戦いの3つが含まれており、コマンドマガジン日本版では長久手と山崎が付録ゲーム化され、次号で関ケ原がつくようです(2021年5月現在)。

 

 さて、このゲームを一言でいうと、「コマンドコントロール(しかも厳しい)のゲーム」です。と、言うのも、一度決めた命令は自由に変更できません。攻撃命令に決めたらひたすら攻撃をします。

 これは、プレイヤーの立場が秀吉や光秀であり、当時の軍の編成上、秀吉が手足のように軍勢を動かせるわけではないことを表しているのだと思います(個人の感想です)。秀吉が「丹羽殿め。敵陣の前まで行軍したら、すぐにかからんかい!」とか思っても「一晩中行軍してきたんだから少し休ませろ」と命令を聞かないことがあるのですね。

 「基本的に」命令変更には軍勢チットが必要です(例外はあります)。ところで、この軍勢チットが曲者です。多分、わかりにくい原因の最大のものかもしれません(個人の感想です)。私も最初は勘違いしていましたが、この軍勢チットというのは他のチットドリブンとは違う使い方をするのです。

 各軍勢は、4種類の命令(攻撃、防御、移動、再編成)のどれかを実行しています。そのため、1ターン中には必ず命令に沿った行動ができます(強制行動チットによって)。これは保証されています。で、軍勢チットはどう使うかというと、例えばダブルインパルスシステムの二次移動(あるいは強行軍)や二次戦闘といった扱いなのです。多分、デザイナー的には。確認したわけではありませんので、あくまで個人の感想です。

 「何をもたもた行軍しておるんじゃ。使い番!頼隆にもっと動けと伝えぃ!軍勢チットを持って行け!」

 「恒興!もっと激しく攻めたてんかぃ!使い番!軍勢チットを背負って行け!」

 という感じ。だから、距離があると命令が遅れたり届かなくなる可能性があるのでしょう。軍勢チットは、命令書が伝令に背負われているようなものかな。

 通常のチットドリブンのように軍勢チットを「基本的な行動(その軍勢を動かすための基本システム)」として扱うと「命令ポイントはたまりません」=「戦闘陣形を発動できません」=「戦闘陣形ルールなんて無駄じゃん」そう、思っている時期が、確かに私にありました。

 でも、「基本的な行動」は強制行動チットで保障されています。ただし、他のゲームのように自由に移動と戦闘を行えるわけではありません。このあたり、「厳しいコマンドコントロール」と考えた所以です。試しに強制行動チットのみで少し動かしてみると、展開が遅いながら一応動きます。一方、軍勢チットを「基本的な行動」とみなして動かすと展開が早く3~5ターン程度でも先が見えてしまいます。思うにデザイナーは、軍勢チットはここぞというときに投入するものと考えたのではないでしょうか(個人の感想です)。さすれば命令ポイントは貯まるので戦闘陣形ルールも生きてきます。

私は一時、戦闘陣形を発動するためにはプレイヤー同士が「ちょっと戦を休んでポイント貯めようね」と合意しないとだめじゃないかと思っていました。

 

 次に、山崎の戦いをサンプルに選んだ理由です。

 私は英語が得意ではありません。なのでtenkatoitsuを買った後でコマンドマガジンで付録化されると聞いて、和訳を放棄しました。なので、現状プレイ可能なのは長久手と山崎の二択です。

 長久手の戦いは油断していた秀吉方(大将は池田恒興)に奇襲をかけた家康方(大将は家康)の戦いでした。秀吉方は全て再編成命令(つまり弁当を食べていた)で始まります。で、ストレスその1、主力の池田勢は先頭にいて後ろから家康勢がかかってきます。道路上には秀吉方の他の軍勢がのんびり飯を食っています。こいつらを移動命令に変更して動かすか、道の外を走るかしない限り後ろに行けません。ちなみに移動力は4で、道は1移動力ですが、他の所、特に山はおおむね2移動力必要ですので、1ターンに2へクスしか動けません(強制行動チットのみなら)。長久手は山地が多く1移動力の平地の部分はかなり少ないです。

 下のマップを見てください(VASSALのモジュールの画面です。作成した方に感謝)。先頭から最後尾までおおよそ30へクスありますので、平地もあることを考えても先頭の池田勢(強い)が最後尾を助けに行くのに約10ターンぐらいかかります。ちなみに長久手の戦いは16ターンで、11ターンから疲労ターンになります。あくまで強制行動チットのみで移動の話ですが。

 でも、道の上で飯を食っている軍勢(6軍勢ほど)を動かすために軍勢チットを入れると、池田勢の軍勢チットを入れている余裕はありません。なので、池田勢の移動力2倍(強制行動チットと軍勢チットを使って)とはなかなかいかないのです。後ろで襲われている軍勢にも使わないといけないですし。そもそも池田勢も命令変更しないといけません。

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長久手のマップ

 飯食っている連中がなかなか動かない(命令変更できない)。

 そして、ストレスが、溜まります。

 ストレスその2。うむ、書いているうちに忘れちゃった。歳だな。思い出したら追記します。

 

 さて、一方の山崎の戦いは、ショートシナリオなら両軍が対峙して、戦いが始まるぞ!っという時にはじまりますので、すぐに戦うことができます(ロングは戦場に進入するところからなので、最初は陣取りゲームです)。なので、サンプルには手頃だなと思った次第です。

 

 長くなってしましましたので、今回はここまで。今後は、ルールブックを最初の方からまとめてみたいと思います。駄文なので、ここまで読んでくださって、つまらんと思われた方、すみません。この後は無視してください。

 

 

(追記)

 ストレスその2。それは命令ポイントがあまりゲットできないことでした。命令ポイント受領判定表は総大将の戦術能力を示しているのでしょうか。どちらも平均で3ポイント。

 で、少ない命令ポイントゆえ、軍勢チットは少なくなり、必然的に強制行動チットが出やすくなります。2ターン続けて何もしないうちに終わってしまった(強制行動チットばかり出た)ことがあって、ストレスとなったのでした。